iDeCo
iDeCoの始め方・口座開設手順を徹底解説!必要書類から運用開始まで

iDeCo(個人型確定拠出年金)の強力な税制メリットや老後資金形成の重要性は理解していても、実際に「始める」となると、その手続きの複雑さからためらってしまう方もいるかもしれません。しかし、正しい手順と準備があれば、iDeCoの口座開設は決して難しいものではありません。
この記事では、iDeCoを始めるための具体的なステップを、口座開設から運用開始まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。金融機関の選び方、必要書類の準備、申し込みから審査、そして運用開始までの流れを網羅的にご紹介し、あなたが安心してiDeCoの第一歩を踏み出せるようサポートします。
iDeCoを始めるための具体的な3ステップ

iDeCoを始めるには、大きく分けて以下の3つのステップがあります。
ステップ1:準備をしっかりする(情報収集と書類準備)
ステップ2:金融機関に申し込む(口座開設と審査)
ステップ3:運用を開始する(掛金拠出と商品選択)
それでは、それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
ステップ1:始める前の「準備」をしっかりしよう
iDeCoを始める前に、いくつかの情報を整理し、必要書類を準備しておくことがスムーズな手続きの鍵です。
加入資格と掛金上限額を確認する
まず、ご自身がiDeCoに加入できるかどうか、そして月々いくらまで掛金を拠出できるのかを確認します。
【国民年金の被保険者の種別】
まずは、第1号~第3号のどれに該当するかを確認します。
・第1号被保険者:自営業者、フリーランス、学生など
・第2号被保険者:会社員、公務員
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦・夫など)
【掛金上限額】
掛金上限額は、国民年金の被保険者の種別によって、以下のように変わります。
・第1号:月6.8万円(国民年金基金等と合算)
・第2号(企業年金なし):月2.3万円
・第2号(企業年金あり):月2万円
ただし、企業型DCの掛金とiDeCoの掛金の合計が月額5.5万円(年間66万円)を超えることはできません。 また、企業型DCに「マッチング拠出」があり、マッチング拠出を行っている場合は、iDeCoに加入できません。
・第3号:月2.3万円
iDeCoは月5,000円の掛金から始められます。無理のない金額を設定しましょう。
金融機関(運営管理機関)を選ぶ
iDeCo口座は、銀行や証券会社などの金融機関で開設します。一度選んだ金融機関は変更が難しいため、慎重に選びましょう。
1.手数料:
・口座管理手数料が無料の金融機関を選びましょう。これは毎月かかる費用で、長期運用では無視できません。
・その他、国民年金基金連合会手数料、事務委託先金融機関手数料もかかりますが、これらはどの金融機関を選んでも一律です。
2.運用商品ラインナップ:
低コストのインデックスファンドが豊富かを確認しましょう。特に「全世界株式」や「S&P500」連動型など、長期投資に適した商品が充実しているかが重要です。元本確保型の商品が必要な場合は、その金利も比較しましょう。
3.サポート体制:
コールセンターの対応時間や情報提供(ウェブサイト、セミナーなど)が充実しているかを確認しましょう。
必要書類を準備する
口座開設に必要な書類は、金融機関やあなたの職業によって異なりますが、主に以下のものが必要です。
・マイナンバー確認書類: マイナンバーカード、または通知カードと運転免許証などの本人確認書類の組み合わせ。
・本人確認書類: 運転免許証、パスポート、健康保険証など。
・掛金引落口座の情報: 掛金を毎月引き落とす金融機関の口座情報(銀行名、支店名、口座番号など)。
・事業主の証明書(第2号被保険者のみ): お勤め先に記入してもらう書類で、企業年金の有無などを証明します。金融機関から送付されます。2024年12月以降、掛金が個人払い(自動引落)の場合、原則として事業主証明書は不要になりました。ただし、勤務先がiDeCo掛金の給与天引きに対応している場合など、一部ケースでは事業主の証明が必要になることもあります。金融機関の指示に従って準備しましょう。
ステップ2:金融機関に申し込む(口座開設と審査)
準備が整ったら、選んだ金融機関にiDeCoの口座開設を申し込みます。
口座開設の申し込み
・オンライン申し込みが主流: 多くの金融機関では、ウェブサイトからiDeCo口座開設を申し込むことができます。画面の指示に従って、個人情報や掛金設定、運用商品などを入力していきます。
・書類の提出: 入力内容を印刷した申込書と、事前に準備した本人確認書類、マイナンバー確認書類、そして必要な場合は事業主の証明書などを郵送で提出します。
審査と口座開設完了
・国民年金基金連合会での審査: 提出された書類は、国民年金基金連合会に送られ、iDeCoの加入資格や企業年金の状況について審査が行われます。この審査には、通常1〜2ヶ月程度の時間がかかります。
・ID・パスワードの郵送: 審査が通ると、運用管理機関からiDeCoの口座番号やパスワードなどの重要書類が郵送されてきます。これで口座開設は完了です。
ステップ3:運用を開始する(掛金拠出と商品選択)
口座開設が完了したら、いよいよ掛金の拠出と運用開始です。
掛金の拠出開始
審査が完了すると、設定した掛金の引き落としが始まります。口座開設の手続きが完了した月以降の掛金が、翌々月などにまとめて引き落とされることがあります。また、掛金は、毎月指定した金融機関の口座から自動で引き落とされます。
運用商品の選択と配分設定
・口座開設完了後、ウェブサイトのマイページなどにログインし、運用商品の選択と配分設定を行います。
・元本確保型(定期預金、保険)と投資信託の中から、あなたのリスク許容度や目標に合った商品を選び、それぞれを何%ずつ購入するか比率を設定します。
・最初の選択が重要: 一度設定しても変更(スイッチング)は可能ですが、最初の選択が長期運用に影響します。初心者には、低コストのインデックスファンドを中心に据えることをおすすめします。
まとめ:iDeCoは計画的に、そして早めのスタートを!
iDeCoの口座開設手続きは、NISAに比べて少し複雑に感じるかもしれませんが、この記事で紹介したステップを順に進めれば、迷うことなく完了できるはずです。
・事前の情報収集と書類準備
・金融機関の慎重な選択
・資格・掛金上限の正確な確認
これらのポイントを押さえて、早めにiDeCoをスタートさせましょう。iDeCoは「早く始めて長く続ける」ことで、掛金の所得控除、運用益非課税、受け取り時の税制優遇という強力なメリットを最大限に享受し、あなたの老後資金準備を強力に後押ししてくれるはずです。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています