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iDeCoで高配当株投資は可能?インカムゲインを非課税で得るには

「iDeCoで不労所得を得たいけど、どんな商品を選べばいいんだろう?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を効率的に準備できる強力な税制優遇制度です。非課税で資産を増やせる点はNISAと同じですが、iDeCoで高配当株投資を行い、定期的な収入(インカムゲイン)を得ることは可能なのでしょうか?
この記事では、iDeCoで直接個別株(高配当株を含む)が買えないことを明確にした上で、高配当株を投資対象とする投資信託を活用する方法を解説します。iDeCoの運用益非課税のメリットを最大限に享受し、間接的にインカムゲインを得るための賢い戦略を提案します。
iDeCoでは高配当株(個別株)に直接投資できない!

結論から言うと、iDeCoの運用商品として、特定の高配当株などの個別株を直接購入することはできません。
iDeCoで選べる運用商品は、各運営管理機関(金融機関)がラインナップしている投資信託(国内籍)や定期預金、保険といった商品に限られています。これは、iDeCoが国の制度であり、特定の基準を満たした国内籍の金融商品しか提供できないという制約があるためです。
そのため、「特定の高配当企業A社の株を買いたい」「米国株の個別銘柄で配当金を得たい」といったニーズには、iDeCoは直接応えることができません。個別株への直接投資は、NISAの「成長投資枠」や特定口座などを活用する必要があります。
間接的に高配当株投資!投資信託の活用法

iDeCoで直接高配当株を購入することはできませんが、高配当株を投資対象として組み入れている国内籍の投資信託を選ぶことで、間接的に高配当株への投資効果を得ることが可能です。
「高配当株」に特化した投資信託を選ぶ
仕組み: 運用会社が、国内外の多くの高配当銘柄に分散投資し、そこから得られる配当収入を原資として運用する投資信託です。
種類:
・国内外の高配当株に投資するファンド: 日本の高配当株、または米国や欧州などの高配当株に投資するインデックスファンドやアクティブファンドがあります。
・特定のセクター(業界)の高配当株に投資するファンド: 例えば、インフラ関連や金融など、安定した配当を出す傾向があるセクターに特化したファンドもあります。
メリット:
・手軽な分散投資: 1つの投資信託で、多くの高配当銘柄に分散投資できるため、特定の銘柄の減配リスクを軽減できます。
・専門家による運用: 銘柄選定や管理をプロに任せられるため、手間がかかりません。
・非課税メリット: iDeCo口座内で運用されるため、ファンドが得た配当金も運用益として非課税で再投資されます。
配当再投資型ファンドの活用
iDeCoで高配当株関連の投資信託を選ぶ際は、分配金が自動的に再投資されるタイプのファンドを選ぶことが重要です。
仕組み: ファンドが得た配当金(分配金)を投資家に支払うのではなく、自動的に再投資に回すことで、資産を雪だるま式に増やしていく「複利効果」を最大限に活用できます。
メリット: iDeCoは運用益が非課税であるため、税金で引かれることなく配当金が再投資される点が大きな強みです。これにより、資産が加速度的に増加していく可能性が高まります。
インカムゲイン生活を目指す場合: iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、現役時代に配当金を生活費に充てることはできません。しかし、この複利の力を利用して老後までに資産を大きく育て、老後になってからiDeCo資産を取り崩す際に、その成果を年金や一時金として受け取ることで、実質的なインカムゲイン生活を実現することになります。
iDeCoの運用益非課税のメリットを享受する視点

iDeCoで高配当株関連の投資信託を選ぶ目的は、その運用益非課税のメリットを最大限に享受し、老後資金を効率的に増やすことにあります。
運用益すべてが非課税
・iDeCo口座内で投資信託が得た配当金だけでなく、その投資信託自体の評価額が上がった場合の「売却益」もすべて非課税です。これにより、トータルで得られるリターンが最大化されます。
・通常、配当金には約20%の税金がかかりますが、iDeCoではこれがゼロ。非課税で受け取れる配当金が再投資されることで、効率的な資産成長が期待できます。
長期運用で複利効果を最大化
・iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、長期運用が前提です。高配当株投資は、配当金を再投資することで複利効果を高める戦略と相性が良いため、iDeCoの長期性と非課税が最大限に活かされます。
・長期間にわたって非課税で配当金を再投資し続けることで、資産が加速度的に増えていく可能性が高まります。
「掛金控除」との二重の税制メリット
iDeCoは、運用益非課税だけでなく、毎月の掛金が全額所得控除になるという強力なメリットもあります。
・現役時代の節税効果: 高配当株投資に関連する投資信託を選ぶことで、将来の運用益を非課税にしつつ、毎月の掛金で所得税・住民税を軽減できます。
・「二重にお得」な仕組み: 運用益の非課税と、掛金控除による節税を両方享受できるため、退職金がない(少ない)方にとっては、老後資金形成の強力な柱となります。
まとめ:iDeCoで高配当株投資は「間接的」に可能、非課税メリットを最大限に活かそう
iDeCoで高配当株などの個別株に直接投資することはできません。しかし、高配当株を投資対象とする投資信託を活用することで、間接的に高配当株投資の効果を得ることが可能です。
・活用する商品: 国内外の高配当株に特化した投資信託を選びましょう。
・再投資を徹底: ファンドの分配金は自動的に再投資されるタイプを選ぶか、手動で再投資を行い、非課税の複利効果を最大限に活かしましょう。
・iDeCoのメリットをフル活用: 掛金控除と運用益非課税の両方を享受することで、老後資金を効率的に積み上げることが期待できます。
iDeCoは、配当金を現役時代の生活費に充てるインカムゲイン生活には直接繋がりませんが、非課税で効率的に資産を大きく育てることで、老後になってからの資産取り崩し(年金・一時金)という形で、実質的な不労所得の恩恵を享受することができます。今日からiDeCoで、あなたの老後資金を賢く形成していきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています