FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:iDeCoの基礎知識を徹底解説!

老後の資産形成を考える上で、iDeCo(個人型確定拠出年金)は欠かせない選択肢の一つです。FPとして、お客様にiDeCoを提案するためには、制度の仕組みから税制優遇、さらには企業型確定拠出年金との連携まで、正確な知識が必要です。ここでは、FP試験でも頻出のiDeCoの重要ポイントを解説します。
iDeCoとは?制度の概要と税制メリット
iDeCoは、自ら拠出した掛金を運用し、その運用成果に応じて将来の年金額が決まる、個人向けの確定拠出年金です。大きな魅力は、以下の3つの税制メリットです。
・掛金の全額が所得控除の対象:
支払った掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。これにより、所得税や住民税が軽減されます。
・運用益が非課税:
運用によって得られた利益や分配金は、すべて非課税で再投資されます。
・受取時にも控除が適用:
受取方法に応じて、年金として受け取る場合は公的年金等控除が、一時金として受け取る場合は退職所得控除が適用されます。
企業型DCからの移換と受給開始年齢
企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していた方が退職した場合、年金資産をiDeCoへ移換することができます。
・資産移換の期限:
企業型DCの加入者資格を喪失した月の翌日から起算して6ヶ月以内に、手続きを行う必要があります。この期限内に手続きを行わない場合、原則として年金資産は国民年金基金連合会に移換されます。
老齢給付金の受給開始年齢
老齢給付金は、原則60歳から受給できます。ただし、60歳時点での通算加入者期間が10年に満たない場合は、以下の通り受給開始年齢が遅くなります。
・通算加入者期間が8年以上10年未満: 61歳から
・通算加入者期間が6年以上8年未満: 62歳から
・通算加入者期間が4年以上6年未満: 63歳から
・通算加入者期間が2年以上4年未満: 64歳から
・通算加入者期間が2年未満: 65歳から
遺族への給付と税金
加入者が死亡した場合、遺族は「死亡一時金」を受け取ることができます。
・税制上の取扱い:
死亡一時金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。この際、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。
ただし、受取時期によって課税区分が変わる点に注意が必要です。
・死亡から3年以内: 相続税の対象(非課税枠適用)
・3年超5年以内: 受取人の一時所得として課税
・5年超: 相続財産として遺産分割の対象
【重要】企業型DC加入者のiDeCo加入要件の改正
2022年10月以降、企業型DCに加入している方でもiDeCoに加入しやすくなりました。
・加入要件の緩和:
・事業主掛金が各月拠出であること。
・マッチング拠出を利用していないこと。
・事業主証明書が不要になりました(2024年12月から)。
・拠出限度額の考え方:
2024年12月からは、拠出限度額が以下の通りに統一されました。
・月額5.5万円から、各月の企業型DCの事業主掛金額およびDB等他制度の掛金相当額を控除した額がiDeCoの拠出限度額となります。ただし、上限は2.0万円です。
【最新情報】2025年度税制改正大綱の動向
2025年度税制改正大綱では、iDeCo制度のさらなる改正が予定されています。
・加入可能年齢の引き上げ:
iDeCoの加入可能年齢が、現在の65歳未満から70歳未満に引き上げられる予定です。
・拠出限度額の大幅な引き上げ:
加入区分ごとの拠出限度額が大幅に引き上げられる見込みです。
・自営業者等(第1号): 月額6.8万円 → 7.5万円
・企業年金なし会社員: 月額2.3万円 → 6.2万円
・企業年金あり会社員: 現在の積上げ型から穴埋め型※へ変更される予定です。
※穴埋め型とは:企業型DCの拠出限度額から会社拠出の企業年金掛金(DB掛金相当額、DC事業主掛金)を差し引いた範囲全額で、従業員の任意拠出(DC加入者掛金またはiDeCo掛金)が可能になること。
・退職所得控除の改正:
一時金として受け取る際に適用される退職所得控除の計算が、2026年1月施行予定で、5年ルールから10年ルールに変更されます。
・現在(5年ルール): iDeCo一時金受取後5年経過すれば、退職金受取時も控除額満額が適用されます。
・改正後(10年ルール): iDeCo一時金受取後10年経過しないと、退職金受取時の控除額が減額される可能性があります。
まとめ
iDeCoは、税制優遇を活用しながら老後資金を準備できる強力な制度です。FPとして、お客様の状況に合わせて、iDeCoのメリットや注意点を正確に伝えられるように、常に最新の情報を把握しておくことが大切です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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