FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:遺族給付の受給権・受給内容を徹底解説

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、遺族給付は万が一の事態に備えるための重要な知識です。遺族給付には、公的な年金制度である遺族年金のほか、死亡一時金や寡婦年金といった制度があります。
ここでは、これらの制度の受給権・受給内容と、FP試験でも問われるポイントを分かりやすく解説します。
遺族基礎年金と遺族厚生年金とは?
遺族年金は、国民年金と厚生年金の「2階建て」の年金制度と同じく、2つの種類で構成されています。
・遺族基礎年金:
国民年金に加入していた方が亡くなった場合に、遺された子のある配偶者または子に支給されます。
・遺族厚生年金:
厚生年金に加入していた方が亡くなった場合に、遺族基礎年金に上乗せして支給されます。
遺族年金は、これら2つの年金がセットで支給されることが多く、どちらも受給するには、それぞれ定められた要件を満たす必要があります。
遺族厚生年金の受給権と受給額
遺族厚生年金は、死亡した方が以下の要件のいずれかを満たしていたときに、一定の要件を満たした遺族に支給されます。
・厚生年金の被保険者であること。
・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき。
・1級または2級の障害厚生年金の受給権者であること。
・保険料納付済期間(保険料免除期間等を含む)が25年以上ある老齢厚生年金の受給権者、および、老齢厚生年金の受給資格を満たした者。
遺族厚生年金の計算方法
配偶者の死亡に基づく65歳以降の、遺族厚生年金の金額は、以下2つのうちいずれか大きいほうの金額が支給されます。
・A: 死亡した配偶者の老齢厚生年金(報酬比例部分) × 3/4
・B: 死亡した配偶者の老齢厚生年金(報酬比例部分) × 3/4 × 2/3 + 受給する配偶者の老齢厚生年金 × 1/2
遺族年金とは異なる独自の給付制度
遺族年金以外にも、遺族の生活を支えるための制度があります。
寡婦年金
寡婦年金は、国民年金に特有の制度です。国民年金の第1号被保険者として保険料を10年以上納めた夫が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに亡くなった場合に、その妻に支給されます。
・支給要件:
・亡くなった夫と10年以上継続して婚姻関係(事実婚も含む)があったこと。
・夫の死亡時に、その夫によって生計を維持されていたこと。
・支給期間:
妻が60歳から65歳になるまでの間。
・年金額:
夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3の金額が支給されます。
死亡一時金
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を36月(3年)以上納めた人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らないまま死亡したときに、その人によって生計を同じくしていた遺族に支払われる一時金です。
年金受給の選択:FPが知るべきポイント
65歳以降は、老齢年金と遺族年金の受給権が重複することがあります。この場合、以下の原則で年金が支給されます。
・65歳未満:
老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権があるときは、いずれかを選択して受給します。
・65歳以降:
原則として、自分の老齢基礎年金と老齢厚生年金が優先して支給されます。
もし遺族厚生年金が、自分の老齢厚生年金を上回る金額がある場合は、その差額が遺族厚生年金として上乗せされて支給されます。
まとめ
遺族給付は、遺された家族の生活を支える重要な制度です。寡婦年金や死亡一時金、遺族厚生年金の受給権・受給内容について、FPとして正確な知識を身につけておくことで、お客様の万が一に備えたライフプランニングをサポートできる頼れる存在となるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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