FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:譲渡所得の計算方法を完全攻略!相続・贈与財産の特別ルールも解説

ファイナンシャル・プランナー(FP)試験の所得税分野で、毎年必ず出題される譲渡所得。不動産や株式の売却はもちろん、ゴルフ会員権や美術品の売却時にも発生する重要な所得区分です。
特に相続や贈与で取得した財産を売却する場合は、一般的な購入とは全く異なる特別なルールが適用されます。これを知らないと、FP試験で大きく減点される可能性があります。
この記事では、FP試験で頻出の譲渡所得の計算方法と、実務でも重要な相続・贈与財産の特別ルールについて、初心者でも理解できるよう分かりやすく解説します。
譲渡所得の基本:まずは仕組みを理解しよう
譲渡所得とは、資産を譲渡(売却)することで得られる所得のことです。ただし、すべての資産が対象になるわけではなく、土地や建物、株式以外の資産(ゴルフ会員権、美術品など)は総合課税の対象となります。一方、土地や建物、株式は他の所得と分離して課税される申告分離課税です。
譲渡所得の計算式:この公式は絶対覚える!
譲渡所得の金額は、以下の計算式で求められます。この公式は、各要素の意味とともに必ず覚えておきましょう。
譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
・譲渡価額: 資産を売却して実際に受け取った金額です。
・取得費: 購入代金や購入時の手数料、設備費など、資産の取得にかかった費用です。建物の場合、減価償却費相当額を差し引いた金額を用います。
・譲渡費用: 仲介手数料や印紙税など、売却にかかった費用です。
・特別控除額: 総合課税の譲渡所得に対しては、年間最高50万円の特別控除が適用されます。
相続した古い財産などで取得費が分からない場合は、売却価額の5%を取得費とすることができます。
所有期間で税負担が激変!短期vs長期の重要な違い
譲渡所得は所有期間によって税負担が大きく変わります。所有期間の計算方法は、課税方式によって異なります。
・総合課税:
所有期間は、取得日の翌日から譲渡した日までで計算します。
・分離課税:
所有期間は、取得日の翌日から譲渡した年の1月1日までで計算します。
この所有期間を基に、短期譲渡所得か長期譲渡所得かを判定します。
・短期譲渡所得(所有期間5年以下)の場合、譲渡所得の金額の全額が課税対象となります。
・長期譲渡所得(所有期間5年超)の場合、総合課税の譲渡所得に限り、譲渡所得の金額の2分の1が課税対象となり、税負担が軽くなります。一方、分離課税の土地・建物は固定税率が適用されます。
この「5年の壁」は、FP試験でも頻出のポイントです。
また、同一年内に短期・長期両方の譲渡益がある場合は、先に短期譲渡所得から特別控除の50万円を差し引き、残額があれば長期譲渡所得から控除するという適用順序があります。この適用順序はFP試験で必出問題です。
相続・贈与財産の特別ルール:ここが試験の山場!
相続や贈与で取得した財産を売却する場合、取得日と取得費は、被相続人や贈与者が取得した日と金額をそのまま引き継ぎます。相続や贈与を受けた日ではない点に注意が必要です。
また、相続税を支払った場合は、一定の要件を満たせば、支払った相続税額の一部を取得費に加算して譲渡所得を減らせる「相続税の取得費加算特例」という節税策も利用できます。
FP試験対策:出題パターンと攻略法
FP試験でよく問われる重要ポイントを以下にまとめます。
・基本計算式:譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
・特別控除額:年間最高50万円
・所有期間の判定:所有期間5年超で長期譲渡所得となります。
・長期譲渡所得の課税割合:総合課税1/2、分離課税は固定税率
・相続・贈与: 取得費・取得日ともに被相続人・贈与者から引き継ぎ
・取得費加算特例の期限: 3年10か月
・取得費不明時の計算: 売却価額の5%
まとめ:譲渡所得攻略の3つのポイント
譲渡所得の計算は、FP試験の重要論点であり、実務でも頻繁に相談される内容です。
攻略ポイント
・基本計算式の確実な暗記
譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
・5年の壁を意識した所有期間判定
5年超 → 長期譲渡所得(総合課税は1/2、分離課税は固定税率)
5年以下 → 短期譲渡所得(課税対象全額)
・相続・贈与の引き継ぎルール
取得費・取得日ともに被相続人・贈与者から引き継ぎ
相続・贈与を受けた日ではない
これらのルールを正確に理解し、FP試験合格と実務での適切なアドバイスに活かしていきましょう。
参考資料・関連リンク
国税庁公式資料
・No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3152.htm
・No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm
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本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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