FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:老齢基礎年金の計算方法を徹底解説

「老齢基礎年金って、結局いくらもらえるの?」
老後の生活を考える上で、誰もが気になる年金の金額。複雑な計算式に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、老齢基礎年金の計算方法について、FP学習者が知っておくべきポイントを絞って、分かりやすく解説します。
老齢基礎年金の「満額」と計算方法
まず、老齢基礎年金の満額は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)、国民年金保険料をすべて納めた場合に支給される金額です。年金額は毎年度改定されますが、令和7年度の満額は、年額831,700円(月額69,308円)です。本記事では、計算を分かりやすくするため、令和6年度の満額である816,000円をベースに解説します。
ご自身の年金納付期間が40年に満たない場合でも、年金が受け取れないわけではありません。納付期間が40年未満の場合の年金額は、以下の計算式で求められます。
老齢基礎年金年額 = 満額 × 保険料納付済期間(月数)÷ 480ヶ月
例: 保険料を納めた期間が30年間(360ヶ月)の場合、年金額は以下のようになります。
816,000円 × 360ヶ月 ÷ 480ヶ月 = 612,000円
参照:日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
保険料の「免除期間」がある場合の年金額
国民年金保険料の支払いが経済的に困難な場合、「免除」や「猶予」の制度を利用できます。これらの制度を利用した場合、年金額はどのように計算されるのでしょうか?
免除や猶予の期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には含まれますが、年金額に反映される割合(年金額反映割合)は、免除の種類や期間によって異なります。
さらに、2009年度に国庫負担割合が2分の1に引き上げられたことに伴い、2009年3月以前と2009年4月以降で換算割合が異なっている点に注意が必要です。
【年金額反映割合】
・2009年3月以前
全額免除:1/3 4分の3免除:1/2 半額免除:2/3 4分の1免除:5/6
・2009年4月以降
全額免除:1/2 4分の3免除:5/8 半額免除:3/4 4分の1免除:7/8
免除期間がある場合、年金額は以下の計算式で計算されます。
免除期間を含む計算式(2009年4月以降の期間):
老齢基礎年金年額 = 満額 × [保険料納付済月数 + (全額免除月数×1/2) + (4分の3免除月数×5/8) + (半額免除月数×3/4) + (4分の1免除月数×7/8)] ÷ 480ヶ月
計算例:保険料納付期間35年(420ヶ月)、2009年4月以降の全額免除期間5年(60ヶ月)の場合
816,000円 × [420 + (60×1/2)] ÷ 480 = 816,000円 × 450 ÷ 480 = 765,000円
年金額に反映されない期間もあるって本当?
国民年金の期間には、年金額の計算には含まれない期間がいくつかあります。主な期間は以下の通りです。
・1. 学生納付特例期間
学生時代に国民年金保険料の納付を猶予してもらう制度です。この期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には含まれますが、年金額の計算期間からは除外されます。将来の年金額を増やすためには、10年以内であれば追納制度を利用して保険料を納めることができます。
・2. 合算対象期間(カラ期間)
20歳前に国民年金に任意加入していなかった期間や、海外に住んでいた期間など、年金の受給資格期間に含めることはできるものの、年金額の計算には反映されない期間を「合算対象期間」といいます。
まとめ:自分の年金額を計算してみよう
老齢基礎年金の金額は、ご自身の国民年金の加入歴によって決まります。まずは、ご自身の年金記録を「ねんきんネット」で確認してみましょう。本記事で解説した計算方法を参考に、ぜひご自身の年金額をシミュレーションしてみてください。より詳しく知りたい場合は、お近くの年金事務所に相談することをおすすめします。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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