FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:成年後見制度を徹底解説!法定後見と任意後見の基本

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、成年後見制度は顧客の老後や財産管理を考える上で非常に重要なテーマです。この制度は、認知症や障がいなどで判断能力が不十分な方を法律的に保護し、支援するためのものです。FPとして、この制度の仕組みを正確に理解し、お客様に適切なアドバイスができるようになることは必須です。
任意後見制度の仕組みと手続き
任意後見制度は、本人の判断能力が十分なうちに、将来後見人になってもらう人(任意後見受任者)を自分で選んで契約する制度です。
・手続き:
委任者(本人)と任意後見受任者が一緒に公証役場で、公正証書による任意後見契約を締結します。契約内容が法務局に登記されることで、効力発生の準備が整います。
・契約の効力:
任意後見契約の効力は、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した段階から生じます。
・契約の解除:
任意後見監督人が選任される前であれば、本人の判断能力が低下していても、家庭裁判所の許可なく、契約を解除できます。この際は、公証人の認証を受けた書面が必要となります。
・後見人への権限:
任意後見制度は、任意後見人に付与する代理権の範囲を任意に定められるのが大きな特徴です。ただし、法定後見とは異なり、任意後見人には同意権や取消権はありません。
・同意権、取消権とは:
・同意権: 本人が特定の法律行為を行う際に、後見人等の同意が必要となる権限です。
・取消権: 本人が同意を得ずに特定の法律行為を行った場合、後見人等がその行為を取り消せる権限です。
・法定後見への移行:
本人の利益のために特に必要があると認められた場合は、家庭裁判所は法定後見の開始を審判することができます。
法定後見制度の仕組みと手続き
法定後見制度は、本人の判断能力が不十分になってから、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。
・対象者:
精神上の障がいにより判断能力が不十分な方。
・申し立て権者:
本人、配偶者、四親等内の親族などが申し立て権者となります。
・手続き開始の同意:
手続き開始にあたり、本人の同意が必要か否かは、本人の判断能力の程度によって異なります。
・後見(判断能力がほとんどない):本人の同意は不要
・保佐(判断能力が著しく不十分):本人の同意は不要(ただし、保佐人に代理権を付与する際は本人の同意が必要です)
・補助(判断能力が不十分):本人の同意が必要
成年後見人等に与えられる権限の範囲
成年後見人等には、本人の状態に応じて以下の3つの権限が与えられます。
・後見人:
本人の財産に関する法律行為すべてについて、代理権と取消権が与えられます。本人の判断能力がほぼ失われているため、同意権は付与されません。
・保佐人:
法律の規定で定められた特定の法律行為について、同意権と取消権が与えられます。代理権も付与できますが、本人の同意が必要です。
・補助人:
家庭裁判所の審判で定められた特定の法律行為について、同意権と取消権、そして代理権が与えられます。いずれも本人の同意が必要です。
まとめ
成年後見制度は、顧客の老後や病気に対する備えとして非常に重要です。法定後見と任意後見、それぞれの制度の目的や権限の違いを正しく理解し、顧客の財産を守り、安心して暮らせるライフプランを提案できるFPを目指しましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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