FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:傷病手当金の計算方法と注意点を徹底解説

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、傷病手当金は顧客の万が一に備える上で重要なテーマです。病気やケガで会社を休み、給与が支払われない期間の生活を保障するこの制度について、ここでは支給額の計算方法や、FP試験でも問われる待期期間のルールを分かりやすく解説します。
傷病手当金とは?支給期間の重要な変更点
傷病手当金は、健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで会社を休み、そのために給与が支払われない場合に支給される給付金です。なお、国民健康保険には傷病手当金の制度はありません。
【支給条件】
・1. 業務外の事由による病気やケガで療養中であること
・2. 仕事に就くことができないこと
・3. 連続した3日間(待期期間)を含む4日目以降の休業であること
・4. 休業期間中に給与の支払いがないこと
支給期間は、2022年の法改正により、「通算1年6ヶ月」に変わりました。途中で職場復帰した場合でも、通算して1年6ヶ月まで受給できます。
傷病手当金の支給額計算方法
傷病手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算式で求められます。
・支給開始日以前の期間が12ヶ月以上の場合
(支給開始日以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日) × 3分の2
・被保険者期間が12ヶ月未満の場合
以下の①か②のどちらか少ない額で計算します。
①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
②前年度の全被保険者の標準報酬月額を平均した額
標準報酬月額とは?
標準報酬月額とは、基本給に各種手当(ボーナス除く)を加えて算出した賃金を、1等級から50等級までの区分に当てはめたものです。傷病手当金の計算の基礎となります。
【計算例で学ぶ】支給額の計算
・条件: 月給30万円の会社員の場合
・標準報酬月額: 30万円
・1日あたりの支給額:
30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,667円(円未満四捨五入)
・1ヶ月(30日)の支給額:
6,667円 × 30日 = 約20万円
待期期間と支給期間のルール
傷病手当金が支給されるためには、連続した3日間の待期期間を満たす必要があります。この待期期間には、土日・祝日などの公休日も含まれます。
待期期間の成立例とリセット例
・成立例:
月・火・水曜日の3日連続で休業した場合、待期期間が成立し、木曜日から支給が開始されます。
・リセット例:
月・火曜日に休業し、水曜日に出勤した場合、連続した休業が途切れるため、待期期間はリセットされます。
他の給付との混同に注意
FP試験では、労災保険の休業補償給付との違いがよく問われます。傷病手当金が標準報酬日額の3分の2であるのに対し、労災の休業補償給付は給付基礎日額の80%が支給されます。
FPが知るべき重要ポイント
傷病手当金について、FP試験で特に重要なポイントを整理しました。
・2022年改正による「通算1年6ヶ月」
・支給額=標準報酬日額×2/3
・待期期間3日間(公休日含む)
・国保は対象外(健康保険のみ)
・退職後も受給できる継続給付の条件:
退職日まで継続して1年以上の被保険者期間があり、かつ退職時に傷病手当金の受給要件を満たしていれば、退職後も継続して受給できます。
・税金と社会保険料:
傷病手当金は非課税ですが、休職中でも健康保険料と厚生年金保険料の支払いは必要です。
・他の給付との調整:
労災保険や障害年金など、他の社会保険給付と併給する場合は調整が行われることがあります。
まとめ
傷病手当金の計算は、FP試験でも頻出の重要項目です。これらの知識を正確に理解しておくことで、お客様に適切なアドバイスができるようになります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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