FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:傷病手当金の計算方法と待期期間の注意点

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、傷病手当金は顧客の万が一に備える上で重要なテーマです。病気やケガで会社を休み、給与が支払われない期間の生活を保障するこの制度について、ここでは支給額の計算方法や、FP試験でも問われる待期期間のルールを分かりやすく解説します。
傷病手当金とは?
傷病手当金は、健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで会社を休み、そのために給与が支払われない場合に支給される給付金です。
・支給条件
1. 業務外の事由による病気やケガで療養中であること
2. 仕事に就くことができないこと
3. 連続した3日間(待期期間)を含む4日目以降の休業であること
4. 休業期間中に給与の支払いがないこと
支給期間は、支給開始日から最長1年6ヶ月です。
【FPが知るべきポイント】待期期間と支給期間
傷病手当金が支給されるためには、連続した3日間の待期期間を満たす必要があります。この待期期間には、土日・祝日などの公休日も含まれます。
待期期間が成立した後は、労務不能状態にある日(公休日も含む)がすべて支給対象となります。
【事例で学ぶ】支給額の計算
以下の条件を基に、傷病手当金の支給額を計算してみましょう。
・2025年3月の勤務状況:
・3/1(土)公休日
・3/2(日)公休日
・3/3(月)出勤
・3/4(火)欠勤
・3/5(水)欠勤
・3/6(木)出勤
・3/7(金)欠勤
・3/8(土)公休日
・3/9(日)公休日
・3/10(月)欠勤
・3/11(火)欠勤
・3/12(水)欠勤
・3/13(木)欠勤
・3/14(金)欠勤
・3/15(土)公休日
・3/16(日)公休日
・3/17(月)欠勤
・3/18(火)欠勤
・3/19(水)欠勤
・3/20(木)欠勤
・3/21(金)欠勤
・3/22(土)公休日
・3/23(日)公休日
・3/24(月)欠勤
・3/25(火)欠勤
・3/26(水)欠勤
・3/27(木)出勤
・3/28(金)出勤
・3/29(土)公休日
・3/30(日)公休日
・3/31(月)出勤
・標準報酬月額:
・2023年6月〜2024年5月:340,000円
・2024年6月〜2025年5月:380,000円
計算の実行
1. 待期期間と支給期間の特定
このケースでは、3/7(金)、3/8(土)、3/9(日)の連続した3日間で待期期間が成立します。(連続した3日の待期期間には、祝日や公休日も含むため)
支給は、待期期間満了後の欠勤日である3/10(月)からとなります。3/10以降、3/26(水)まで労務不能状態が続いているため、この期間のすべての日が支給対象です。
・支給日数の合計は3月10~26日までの17日間となります。
2. 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額を算出
支給開始日は3/10です。その以前12ヶ月間は、2024年4月〜2025年3月となります。
・2024年4月〜2024年5月(2ヶ月分):34万円
・2024年6月〜2025年3月(10ヶ月分):38万円
・12ヶ月の平均額: (34万円 × 2ヶ月 + 38万円 × 10ヶ月) ÷ 12ヶ月 = (68万円 + 380万円) ÷ 12ヶ月 = 448万円 ÷ 12ヶ月 = 約37.33万円
3. 1日あたりの支給額を算出
・(標準報酬月額の平均額 ÷ 30日) × 3分の2
・(373,333円 ÷ 30日) × 3分の2 = 12,444.43...円 × 3分の2 = 8,296円(小数点以下切り捨て)
4. 総支給額を算出
・1日あたりの支給額 × 支給日数 = 8,296円 × 17日 = 141,032円
このケースにおける傷病手当金の総支給額は、141,032円となります。
※※端数処理が異なるため、FP1級の過去問と回答が異なっています。
まとめ
傷病手当金の計算は、FP試験でも頻出の重要項目です。特に待期期間には公休日も含まれること、そして支給期間中も公休日が支給対象になるというルールを正確に理解しておくことが重要です。この記事で解説した計算方法と事例を参考に、知識を深めておきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
金子賢司へのライティング・監修依頼はこちらから。ポートフォリオもご確認ください。