FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:個人事業主の減価償却費を徹底解説

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、個人事業主の減価償却費は重要なテーマです。事業で使う資産は、時間の経過とともに価値が減少します。この減少分を「減価償却費」として費用に計上することで、課税所得を減らし、税負担を軽減できます。
ここでは、減価償却費の基本と、FP試験でも問われる中古資産の耐用年数について解説します。
減価償却費の基礎知識
減価償却とは、取得価額が10万円以上の、使用可能期間が1年以上の資産(建物、車両、機械など)の購入費用を、一度に経費として計上するのではなく、使用できる期間(耐用年数)に応じて分割して経費に計上する会計処理のことです。
償却方法と法定償却方法の注意点
減価償却には、大きく分けて「定額法」と「定率法」の2つの償却方法があります。
・定額法: 毎年、同じ金額を償却する方法です。
・定率法: 毎年、一定の割合で償却するため、初年度の償却費が最も大きくなります。
これらの償却方法は、あらかじめ税務署に届け出る必要があります。もし届出をしていない場合は、法定償却方法が適用されますが、個人事業主と法人では法定償却方法が異なります。
・個人事業主の場合:
届出がない場合の法定償却方法は定額法です。
・法人の場合:
届出がない場合の法定償却方法は定率法です。
中古資産の耐用年数と計算方法
減価償却を行う上で、最も重要なのが耐用年数です。中古資産を取得した場合、法定耐用年数ではなく、以下のルールで耐用年数を決定します。
・原則: 見積法
原則として、事業の用に供した以降の使用可能年数を見積もって耐用年数を決定します。
・見積もりが困難な場合の簡便法
使用可能年数の見積もりが難しい場合は、「簡便法」という方法で耐用年数を計算します。
・法定耐用年数の全部を経過した資産の場合
法定耐用年数 × 0.2
・法定耐用年数の一部を経過した資産の場合
(法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 0.2
いずれの場合も、計算結果の1年未満の端数は切り捨てます。ただし、計算後の耐用年数が2年未満となる場合は、2年が耐用年数となります。
まとめ:FPとして知っておくべきポイント
減価償却費は、個人事業主のお客様の所得税額に直結する重要な項目です。
・減価償却資産は、取得価額が10万円以上、使用可能期間が1年以上のものが対象です。
・償却方法を届け出ていない場合、個人事業主は定額法、法人は定率法が適用されます。
・中古資産は、簡便法で耐用年数を計算できる場合があります。
これらのポイントを正確に把握し、お客様の適正な税負担をサポートできるFPを目指しましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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