FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:企業年金の移換ルールを徹底解説

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、企業年金の移換は、顧客の転職や退職に伴うライフプランニングで重要な論点です。企業年金制度は多岐にわたり、それぞれ移換ルールが複雑です。ここでは、FP試験でも問われる企業年金間の移換ルールを分かりやすく解説します。
企業年金とは?主な制度の種類
企業年金とは、企業が従業員の退職後の生活のために、自助努力を支援する私的な年金制度です。主に以下の3つの制度があります。
・確定給付企業年金(DB):
将来の給付額があらかじめ決まっている年金制度です。
・確定拠出年金:
掛金があらかじめ決まっている年金制度です。企業が掛金を拠出する「企業型DC」と、個人が掛金を拠出する「iDeCo」があります。
・中小企業退職金共済(中退共):
中小企業向けの退職金制度で、国が運営をサポートします。
FPとして、これらの制度間の移換ルールを正確に把握しておくことが重要です。
制度間の移換ルールを理解する
企業年金制度の移換ルールは、移換元と移換先の制度によって決まります。
・DB → DB:
確定給付企業年金(DB)から、別の確定給付企業年金(DB)への移換は可能です。
・企業型DC・iDeCo → DB:
企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCoから、確定給付企業年金(DB)への移換も可能です。
・企業型DC・iDeCo → 企業型DC:
企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCoから、別の企業型確定拠出年金(企業型DC)への移換も可能です。
・企業型DC・iDeCo → iDeCo:
企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCoから、iDeCoへの移換も可能です。
これらの移換は、制度間で資産をスムーズに引き継ぐために設けられています。
移換手続きの期限と注意点
企業年金の資産を移換する際には、以下の点に注意が必要です。
・移換の期限:
移換元の制度の種類によって期限が異なります。
・企業型DCからの移換: 退職から6ヶ月以内
・DBからの移換: 加入資格を喪失した日から1年以内
・移換先の規約:
移換先の企業年金制度の規約に、資産移換を受け入れる旨が定められている場合に限ります。
中退共の移換ルールと注意点
中退共の退職金は、特定の条件を満たせば、他の企業年金制度との相互移換が可能です。
・中退共からDB・企業型DCへの移換:
加入企業が中小企業でなくなった場合や、合併などの場合は、確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(企業型DC)へ移換できます。
・DB・企業型DCから中退共への移換:
逆に、企業型確定拠出年金や確定給付企業年金から、中退共への移換も、合併等の場合に限って可能です。
ただし、中退共とiDeCoの間では、制度間で資産を移換することはできません。この点は、FPとして必ず押さえておくべき注意点です。
まとめ
企業年金の移換ルールは複雑ですが、FPとしてこれらの知識を整理しておくことは、顧客の転職やキャリアチェンジの相談に応じる上で非常に重要です。この記事で解説したポイントを参考に、正確な知識を身につけましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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