火災保険
地震保険とは?補償内容・保険料・割引制度から加入時の注意点まで解説

地震保険は、地震・噴火・津波による住宅や家財の損害を補償する保険制度で、政府と民間保険会社が共同で運営しています。火災保険だけでは地震による損害は補償されないため、被災後の生活再建を支える経済的備えとして、地震保険への加入を検討することが重要でしょう。
地震保険の基本と火災保険との違い

地震保険は「地震保険に関する法律」に基づく公的性格の強い保険であり、どの保険会社で加入しても補償内容・保険料が同一です。
地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を直接・間接の原因とする火災、損壊、埋没、流失による建物や家財の損害を補償する制度となっています。政府と民間損害保険会社が共同で運営しているため、巨大地震の発生時にも確実に保険金が支払われる体制が整えられているでしょう。
一方、火災保険では地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・拡大した損害は補償されません。地震による損害は予測が困難で被害規模が膨大になるため、火災保険とは別に地震保険への加入が求められるでしょう。
地震保険が必要な3つの理由

日本は世界有数の地震国であり、地震リスクへの経済的な備えは欠かせません。
地震保険の必要性を3つの観点から整理しました。
日本は地震の発生リスクが高い
日本周辺では世界で発生する地震の約1割が集中しており、国内のどの地域でも大規模な地震が起きる可能性があります。
地震調査研究推進本部は2025年9月に南海トラフ巨大地震の長期評価を改訂し、今後30年以内の発生確率として「60~90%程度以上」と「20~50%」の2つの確率を併記しました(改訂前は「80%程度」)。計算モデルにより幅はあるものの、いずれも発生確率は高いとされています。また、首都直下地震(南関東M7クラス)についても30年以内に70%程度の確率で発生すると評価されているのが現状です。
過去には発生確率が低いとされていた地域でも、1983年の日本海中部地震や2005年の福岡県西方沖地震のように想定外の地震が発生しており、油断は禁物といえるでしょう。
出典:地震調査研究推進本部「南海トラフの地震活動の長期評価」
火災保険では地震による損害を補償できない
火災保険の補償範囲に、地震・噴火・津波を原因とする損害は含まれていません。
地震による火災で建物が焼失したり、揺れによって建物が倒壊したりしても、地震保険に加入していなければ保険金を受け取ることはできないでしょう。火災保険に付帯される「地震火災費用」として一部費用が支払われる場合もありますが、本格的な補償を受けるには地震保険への加入が不可欠です。
被災後の生活再建には経済的な備えが欠かせない
大規模地震が発生した場合、住宅の損壊や家財の損失によって、生活再建に多額の費用がかかることが想定されます。
住宅ローンが残った状態で被災すると、倒壊した住宅のローン返済と新たな住居費用が二重負担になるリスクもあるでしょう。地震保険は被災者の「生活の安定」に寄与することを目的としており、受け取った保険金の使い道は限定されていない点が特徴です。住宅の修繕費用のほか、当面の生活費に充てることも可能となっています。
出典:政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え『地震保険』を」
地震保険の補償内容と保険金の仕組み

地震保険の補償対象や保険金の算定方法には、迅速な保険金支払いを可能にするための独自の仕組みがあります。
ここでは、補償の対象範囲と保険金の支払い方法を整理していきましょう。
補償対象は居住用の建物と家財
地震保険の対象は居住用の建物と家財(生活用動産)に限られます。建物には門や塀などの付属物が含まれ、家財には家具、家電、衣類などが該当するでしょう。
ただし、以下は補償対象外となります。
・工場や事務所専用の建物など、住居として使用されない建物
・1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨とう
・通貨、有価証券(小切手、株券、商品券等)、預貯金証書、印紙、切手
・自動車
損害の程度に応じた4段階の保険金
地震保険では、損害の程度を4段階に区分して保険金を算定する方式が採用されています。実際の修理費ではなく、損害区分に応じた定額払いにすることで、迅速な保険金支払いを実現している点が特徴です。
・全損:地震保険金額の100%(時価額が限度)
・大半損:地震保険金額の60%(時価額の60%が限度)
・小半損:地震保険金額の30%(時価額の30%が限度)
・一部損:地震保険金額の5%(時価額の5%が限度)
※損害の程度が一部損に満たない場合、保険金は支払われません。
総支払限度額は12兆円
地震保険では、1回の地震等で支払われる保険金の総支払限度額が12兆円と定められています。
この限度額は、関東大震災クラスの巨大地震が発生した場合にも対応可能な水準として設定されたものです。阪神・淡路大震災や東日本大震災といった巨大地震の際にも、保険金の支払額は総支払限度額の範囲内に収まっており、円滑に保険金が支払われた実績があります。
地震保険で保険金が支払われないケース

地震保険に加入していても、損害の原因や状況によっては保険金が支払われない場合があります。
請求の前に確認しておきたい対象外のケースは以下の通りです。
・故意もしくは重大な過失、または法令違反による損害
・地震等が発生した日の翌日から起算して10日経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難
・門、塀、垣のみに生じた損害
・損害の程度が一部損に至らない損害
地震保険の保険料と4つの割引制度

地震保険料は建物の所在地と構造で決まり、建物の耐震性能に応じた割引制度も用意されています。
保険料の仕組みと活用できる割引制度を確認しましょう。
耐震性能に応じた4種類の割引
地震保険には、建物の免震・耐震性能に応じた4種類の割引制度が設けられています。ただし、複数の条件に該当する場合でも、最も割引率の高い1つのみが適用される点に注意が必要です。
【免震建築物割引】
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく免震建築物に該当する場合
→ 50%割引
【耐震等級割引】
耐震等級を有している場合
・耐震等級3:50%割引
・耐震等級2:30%割引
・耐震等級1:10%割引
【耐震診断割引】
耐震診断・耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)の耐震基準を満たす場合
→ 10%割引
【建築年割引】
昭和56年6月1日以降に新築された建物の場合
→ 10%割引
地震保険料控除で所得控除が受けられる
平成19年1月より、地震保険料控除制度が創設されました。
その年に支払った地震保険料に応じて所得控除を受けることが可能で、控除の限度額は所得税で最高5万円、住民税で最高2万5千円となっています。会社員は年末調整で、自営業やフリーランスは確定申告で手続きを行えるでしょう。
出典:国税庁「地震保険料控除」
地震保険に加入する際の注意点

地震保険の契約にはいくつかの制約があり、事前に把握しておくことでミスマッチを防げます。
加入前に確認しておきたいポイントを整理しました。
火災保険とセットでなければ加入できない
地震保険は火災保険に付帯する方式で契約するため、単独では加入できません。火災保険への加入が前提条件となっています。
すでに火災保険に加入している場合は、契約期間の途中からでも地震保険を追加できるでしょう。なお、地震保険は国と民間保険会社の共同運営であるため、どの保険会社で加入しても補償内容と保険料は同一です。
保険金だけで住宅の完全復旧は難しい
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定する仕組みとなっています。
上限額も建物は5,000万円、家財は1,000万円と定められているため、地震保険の保険金だけで被災前の状態に完全に建て直すことは難しい場合があるでしょう。これは、地震保険が住まいの完全復旧ではなく、被災者の「生活の安定」に寄与することを目的としているためです。
不足分は貯蓄で備えるほか、火災保険に付帯する「地震上乗せ特約」なども選択肢の一つとなります。この特約は、地震保険の保険金額を火災保険の50%に設定した場合に、最大100%まで補償額を上乗せできる場合があります(一部損は対象外となるケースも)。ただし、特約の有無や内容は保険会社によって異なるため、事前に確認しておくことをお勧めします。
まとめ
地震は予測が困難であり、一度発生すれば甚大な被害をもたらす可能性があります。火災保険だけでは地震による損害はカバーされないため、被災後の生活再建に備えて地震保険への加入を検討することが重要でしょう。
資産状況や住宅ローンの有無、建物の耐震性能などを考慮したうえで、地震保険の必要性を改めて見直してみてはいかがでしょうか。万が一の事態に備えた経済的準備が、被災後の生活再建を支える力となります。
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