「共済型と民間型、結局どっちの学資保険がうちに合うの?」――教育費のピークが近づくほど、こうした悩みは大きくなります。家計にムリなく備えたい一方で、保障も妥協したくない。そんな揺れる気持ちに寄り添いながら、独立系FPの立場で共済型と民間型の違いを要点から整理し、意思決定に必要な実践的な視点をお届けします。

 

共済型と民間型の学資保険の違い


違い

本章では、仕組み・費用感・保障設計の観点から両者の違いを全体像として押さえます。その上で、ご家庭のキャッシュフローに落とし込む判断軸を提示します。


共済型学資保険の特徴


 

「助け合い」を基盤とする非営利の仕組みで、生活協同組合や農業協同組合などが運営します。多くは組合員加入が前提で、商品設計は満期祝金+万一時の基本保障というシンプルな構成が中心です。一般に保険料水準は抑えめになりやすい一方、返戻や配当といった貯蓄性は控えめな傾向があります。医療等とセット設計のタイプも多く、家計ワンパッケージで備えたい世帯と相性が良い場合があります。

 

民間型学資保険の特徴


 

生命保険会社が提供し、受取時期(小・中・高・大の入学進学)や特約の付加など設計自由度が高いのが強みです。条件によっては元本を上回る返戻を見込める商品もあります(契約年齢・払込期間・支払方法等で変動)。一方、保障の厚さや返戻重視の設計ほど保険料は上がりやすい点や、健康状態の告知・診査が必要な場合がある点には留意が必要です。

 

費用・保障内容の比較


 

費用面:共済型は家計負担を抑えた掛金で基本保障を確保しやすい設計が多く、民間型は設計自由度と引き換えに保険料の振れ幅が広いのが一般的です(受取時期の多段化や医療特約の付加などで増減)。

保障面:共済型は「必要最低限をわかりやすく」、民間型は「進学イベントに合わせて細かくカスタム」がしやすい特徴があります。いずれも万一時の学資準備(払込免除・育英年金等の有無や範囲)は商品ごとに異なります。

返戻性:双方とも契約条件次第で受取総額が変わります。一般論として、払込期間を短く・受取を後ろに置く設計ほど返戻は有利になりやすい一方、月次負担は重くなります。逆に払込を長く・受取を分散させると負担は平準化しやすい反面、返戻の妙味は抑えめになりがちです。

 

FPとしての提案


 

1)「何に備えるか」を先に決める
学資保険で達成したいのは「進学時点の必要資金の確保」か、「万一時の学費保障」か、あるいは両立か。目的を明確にし、不要な特約や過剰な受取時期を削ぎ落とすと、ムダな保険料を避けられます。

2)家計キャッシュフローで逆算する
教育費は年齢とともに増え、とくに高校~大学でピークを迎えます。毎月の可処分所得から「無理なく続けられる上限額」を先に固定し、その範囲で設計を調整しましょう。

3)貯蓄と保障を分ける選択肢
学資保険は「学費の確実な原資と万一時の備え」にフォーカスし、運用(増やす)はつみたてNISA等の別枠で行う方法も有効です。役割分担でリスクとコストを見える化できます。

 

かんたん家計シミュレーション(数値イメージ)


シミュレーション

例:月2万円×15年=総払込360万円。学資保険で大学入学時にまとまって受け取る設計にすれば、受取タイミングを教育費ピークに合わせやすく、万一時の払込免除が付くタイプなら親のリスクにも備えられる点が預金との違いです。反面、途中解約すると元本割れリスクがあるため、ライフイベント(住宅購入・第2子など)を織り込んだ継続可能性の確認が不可欠です。

 

まとめ


 

共済型は低コストでシンプルに必要保障を確保したい世帯と相性が良く、民間型は受取時期の最適化や特約での包括的備えを求める世帯に向きます。いずれを選ぶにしても、目的→家計上限→設計の順に決めるとミスマッチを防げます。具体的な契約条件(年齢、払込期間、受取時期、特約)で総額・返戻・柔軟性が大きく変わるため、最新のパンフレット・約款で必ず数値確認を行いましょう。

 

参考文献


 

・金融庁「保険を契約している方へ」:https://www.fsa.go.jp/ordinary/insurance.html

・金融庁「『保険契約にあたっての手引』について」:https://www.fsa.go.jp/ordinary/hokenkeiyaku/index.html

・文部科学省「結果の概要-令和5年度 子供の学習費調査」:https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html

・(詳細PDF)文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査の結果を公表します」:https://www.mext.go.jp/content/20241225-mxt_chousa01_000039333_1.pdf