FP資格取得のためのポイント
退職後も安心!健康保険の任意継続被保険者制度をFPが解説

健康保険は、病気やケガに備えるための大切なセーフティーネットです。会社を退職すると、通常は健康保険の資格を失いますが、要件を満たせば最長2年間、元の会社の健康保険を継続できる制度があります。それが「任意継続被保険者制度」です。
FPとして、お客様の退職後のライフプランを考える上で、この制度のメリットとデメリットを正しく理解し、国民健康保険と比較検討できるようになることは非常に重要ですし、FP試験でも頻出のテーマです。
任意継続被保険者になるための条件
退職後に任意継続被保険者となるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・1. 資格喪失日(退職日の翌日)までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること
退職日を含む月の前月分まで、健康保険に2ヶ月以上加入していたことが必要です。
・2. 資格喪失日から「20日以内」に申請すること
申請期間は原則として、退職日の翌日から20日以内です(申請期間は原則として、退職日の翌日から20日以内です。20日目が土日・祝日の場合の扱いは健康保険組合によって異なるため、事前に確認が必要です。)この期間を過ぎると、原則として任意継続被保険者になることはできません。
・3. 75歳未満であること
後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の方は、任意継続被保険者になることができません。
任意継続のメリットとデメリット
メリット
・在職中と同等の保険給付が受けられる
任意継続被保険者となっても、在職中と同じ内容の健康保険給付(高額療養費、出産育児一時金など)を受けることができます。
・扶養家族も継続して加入できる
在職中と同じく、扶養家族も被保険者として継続して加入できます。
・国民健康保険より保険料が安くなる可能性がある
保険料は全額自己負担となりますが、国民健康保険と比べて保険料が安くなる場合があります。特に、退職時の給与水準が高い方にとっては、国民健康保険よりも有利なケースが多く見られます。
デメリット
・保険料が全額自己負担になる
在職中は会社が保険料の半分を負担してくれましたが、任意継続では全額自己負担となります。
・保険料に上限が設定される
任意継続被保険者の保険料を計算する際の標準報酬月額には、上限が定められています。具体的には、「退職時の標準報酬月額」と「前年9月30日時点における全被保険者の標準報酬月額の平均額」のいずれか低い方が適用されます。
・保険料の支払いが遅れると資格喪失する
保険料の納付は、原則として定められた期限までに行う必要があります。期限までに支払いが確認できない場合、資格を失うことになります。
・給付が一部対象外になる
任意継続被保険者制度では、基本的に傷病手当金や出産手当金は支給されません。ただし、退職前に被保険者期間が1年以上あり、かつ退職時に既に受給要件を満たしていたり、受給中であったりする場合は、継続して給付を受けられる場合があります。
まとめ:FPとして適切なアドバイスのために
任意継続被保険者制度は、退職後の健康保険を検討する上で重要な選択肢です。この制度と国民健康保険、どちらがお客様の状況に合っているかを判断するためには、正確な知識と計算が不可欠です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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