生命保険
生命保険料控除を最大限活用!年末調整・確定申告のポイント

生命保険は、万が一のリスクに備えるだけでなく、毎年の税金も軽減してくれる制度です。これが「生命保険料控除」です。年末調整や確定申告でこの控除を申告することで、所得税や住民税が安くなり、家計の負担を軽くすることができます。
この記事では、生命保険料控除を最大限に活用するためのポイントを解説します。控除の対象となる保険の種類、新制度と旧制度の控除額の違い、そして年末調整と確定申告での具体的な手続き方法まで。あなたの税負担を賢く軽減するためのヒントを提案します。
生命保険料控除の対象となる保険の種類

生命保険料控除は、以下の3つの種類の保険料が対象となります。
1.一般生命保険料控除:
対象: 死亡保険(終身保険、定期保険、収入保障保険など)、生存給付金付定期保険など。
2.介護医療保険料控除:
対象: 医療保険、がん保険、介護保険など、入院や手術、介護に備える保険。
3.個人年金保険料控除:
対象: 個人年金保険。ただし、税制適格特約を付加し、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
1.年金の受取人が契約者またはその配偶者であること
2.年金受取人が被保険者と同一であること
3.保険料払込期間が10年以上であること
4.年金受取開始が60歳以降であること
5.年金受取期間が10年以上であること(確定年金の場合)
新制度と旧制度の控除額の違い

生命保険料控除には、2012年以降に契約した「新制度」と、2011年以前に契約した「旧制度」があり、それぞれ控除額の上限が異なります。
新制度の控除額(2012年以降の契約)
所得税:
年間払込保険料8万円以上: 4万円(最大)
住民税:
年間払込保険料5.6万円以上: 2.8万円(最大)
対象: 一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険の3つの区分で、それぞれ上記の控除額が適用されます。そのため所得税は最大12万円まで控除が受けられます。ただし、住民税は3つの区分を合計しても7万円が上限です。
【補足】2026年分の所得税控除の拡充(時限措置):
2025年度税制改正で、23歳未満の扶養親族がいる世帯を対象に、所得税の一般生命保険料控除が4万円から6万円に拡充されることが決定しました。これは2026年分の所得税にのみ適用される1年間の時限措置です。子育て世帯にとって重要な変更となりますので、この期間の控除を忘れずに活用しましょう。
旧制度の控除額(2011年以前の契約)
所得税:
年間払込保険料10万円以上: 5万円(最大)
住民税:
年間払込保険料7万円以上: 3.5万円(最大)
対象: 一般生命保険と個人年金保険の2つの区分で、それぞれ上記の控除額が適用されます。したがって所得税が最大10万円、住民税最大7万円です。
【ポイント】
・1つの保険契約で、新制度と旧制度が混在することはありません。
・複数の契約がある場合は、新旧両方の制度の控除を合算できますが、所得税が12万円、住民税7万円が上限です。
・2012年以降の契約は、すべて「新制度」となります。
年末調整と確定申告での手続き方法、必要書類

生命保険料控除を受けるためには、会社員は年末調整で、自営業者は確定申告で手続きが必要です。
年末調整での手続き(会社員・公務員向け)
1.必要書類の準備:
保険会社から郵送される「生命保険料控除証明書」を用意します。毎年10月頃に送られてきます。
2.申告書の記入:
・勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に、証明書に記載された金額を基に記入します。
・どの区分(一般、介護医療、個人年金)の控除に該当するか確認しましょう。
3.証明書の添付:
記入した申告書に、証明書の原本を添付して勤務先に提出します。
確定申告での手続き(自営業者、年末調整できなかった方など)
1.必要書類の準備:
年末調整と同様に「生命保険料控除証明書」を用意します。
2.申告書の記入:
・国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」などで、ご自身の所得や控除額を入力します。
・控除額の欄にある「生命保険料控除」の項目に記入します。
3.証明書の添付:
・郵送で提出する場合は、証明書の原本を申告書に添付します。
・e-Tax(電子申告)を利用する場合、証明書の添付は省略できます。
まとめ:生命保険料控除を賢く活用し、税負担を軽減
生命保険料控除は、生命保険に加入している方が必ず受けられる税制メリットです。
・一般、介護医療、個人年金の3つの区分を理解し、ご自身の契約がどの控除に該当するか確認しましょう。
・新制度と旧制度で控除額が違うことを把握し、見直しの際に参考にしましょう。
・年末調整または確定申告で、忘れずに手続きを行いましょう。
この記事を参考に、生命保険料控除を最大限に活用し、家計の負担を軽くして、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。