生命保険
生命保険の「保険約款」の読み方:トラブル時に役立つ最終確認書類

「約款って難しそうだけど、読んでおかないと何か困ることはある?」
生命保険の契約時に渡される「保険約款(ほけんやっかん)」。分厚くて、専門用語も多く、読むのをためらってしまう方は少なくありません。しかし、この約款こそが、保険金が支払われるかどうかの判断基準となる、最も重要な書類です。約款を正しく理解していなければ、いざという時に「保険金がもらえない」といったトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、生命保険の約款とは何か、なぜ読むべきかを解説します。そして、保険金が支払われる条件と、支払われない条件を詳しく掘り下げ、重要事項説明書との関係性まで。トラブルを未然に防ぎ、安心して生命保険を活用するためのヒントを提案します。
約款とは何か?なぜ読むべきか

保険約款とは、保険契約のすべての内容を記した書類です。保険会社と契約者の間で交わされる「約束事」が、細かく書かれています。
約款は「トラブル解決の最終確認書類」
・契約のルールブック:
約款には、保険金が支払われる条件や、保険料の支払い方法、契約の解除など、保険契約に関するあらゆるルールが記載されています。
・法的拘束力:
約款は法的拘束力を持つため、万が一、保険金支払いでトラブルになった場合、約款の内容が最終的な判断基準となります。
約款を読むべき理由
・保障内容の正確な理解:
約款を読むことで、パンフレットや担当者から説明された保障内容を、より正確に理解できます。
・トラブルを未然に防ぐ:
保険金が支払われる条件や、支払われない条件を事前に知っておくことで、「こんなはずではなかった」というトラブルを未然に防げます。
・保険金請求時のスムーズな手続き:
保険金請求の際の手続きや、必要書類などを事前に把握しておくことで、スムーズな手続きができます。
保険金が支払われる条件、支払われない条件

約款の中でも、特に重要なのが「保険金が支払われる条件」と「支払われない条件」です。
保険金が支払われる条件
支払事由の発生:
被保険者が死亡した、入院した、手術を受けた、といった「支払事由」が約款に記載されている場合に、保険金が支払われます。
告知義務の遵守:
・契約時に、健康状態を正確に告知していることが条件となります。
・因果関係がない場合の例外: 告知義務違反があった場合でも、その違反となった事実と保険金支払いの原因との間に因果関係がなければ、保険金が支払われることもあります。
保険金が支払われない条件(免責事由)
免責事由:
約款には、保険金が支払われない「免責事由」が記載されています。
主な免責事由:
・自殺: 契約から通常2~3年(多くの会社で3年)以内の自殺は、免責事由に該当します。ただし、精神障害などにより自由な意思決定ができない状態での自殺については、免責期間内でも保険金が支払われる場合があります。免責期間経過後の自殺については、特段の事情がない限り、免責の対象にならないとする最高裁判例があります。
・重大な過失: 契約者や被保険者による重大な過失(飲酒運転など)によって事故が起こった場合。
・告知義務違反: 告知書に事実と異なる内容を記載した場合。
・犯罪行為: 故意による犯罪行為で、被保険者が死亡した場合。
確認の重要性:
どのような場合に保険金が支払われないのかを事前に知っておくことで、万が一の際に備えられます。
「重要事項説明書」との関係性

保険契約時には、約款以外にも「重要事項説明書」という書類が渡されます。
重要事項説明書とは?:
・約款の中から、特に重要な項目を抜粋し、分かりやすくまとめた書類です。
・契約者が約款の重要部分を確実に理解できるように作られています。
約款との関係性:
・重要事項説明書は、あくまで約款の要約であり、契約のすべての内容が記載されているわけではありません。
・万が一、約款と重要事項説明書の内容に相違がある場合、約款の内容が優先されます。
まとめ:生命保険の約款は「理解」が大切
生命保険の約款は、分厚くて難しそうに見えますが、あなたの保険契約を守るための最も重要な書類です。
・約款とは、保険契約のすべてを記した「ルールブック」です。
・保険金が支払われる条件、支払われない条件(免責事由)を正しく理解しましょう。
・重要事項説明書は要約であり、約款の内容が優先されることを覚えておきましょう。
この記事を参考に、約款を正しく理解し、安心して生命保険を活用しましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。