生命保険
生命保険の「保険期間」を考える:終身保障と定期保障の選び方

生命保険を選ぶ際、保障額と並んで重要なのが「保険期間」です。万が一の事態への備えは、いつまで必要かというご自身のライフプランによって、選ぶべき保険期間も変わってきます。終身保険と定期保険、それぞれの保障期間には、メリット・デメリットがあり、安易に選んでしまうと後悔するかもしれません。
この記事では、生命保険の保険期間の考え方を解説します。終身保障(一生涯)と定期保障(一定期間)のメリット・デメリットを詳しく比較し、あなたのライフプランに合わせた最適な期間の選び方を提案します。
終身保障(一生涯)のメリット・デメリット

終身保障とは、契約者が亡くなるまで保障が一生涯続く保険です。
メリット:一生涯の安心と貯蓄性
1.保障の一生涯継続: 何歳で亡くなっても必ず保険金が支払われます。これにより、葬儀費用や遺された家族への財産など、老後のリスクに備えることができます。
2.保険料が一定: 契約時の保険料が一生涯変わらないため、老後の家計が苦しくなっても、保険料の負担が急に増える心配がありません。
3.貯蓄性がある: 保険料の一部が積み立てられるため、解約した際には「解約返戻金」を受け取れます。これにより、貯蓄も兼ねて保険を活用することができます。
デメリット:保険料の高さと柔軟性の低さ
1.保険料が割高: 保障が一生涯続くため、定期保険に比べて、月々の保険料が高くなります。
2.短期間の解約は損: 貯蓄性があるとはいえ、加入期間が短いと解約返戻金が払込保険料を下回ることがほとんどです。解約返戻金は、契約からの経過年数や保険料払込期間の完了前後で大きく変わるため、早期解約では元本割れが一般的です。
3.インフレリスク: 保険金額が固定されるため、物価上昇が起こると、将来受け取る保険金の実質的な価値が目減りするリスクがあります。
終身保険の「保険料の支払方法」
終身保険には、「終身払い」(一生涯支払い続ける)と「有期払い」(60歳、65歳までなど、一定期間で支払いを完了する)という2つの支払方法があり、それぞれ月々の保険料が異なります。
・終身払い: 一生涯保険料を払い続ける分、月々の保険料は安くなります。
・有期払い: 一定期間で支払いを完了する分、月々の保険料は割高になりますが、老後の保険料負担がなくなります。
定期保障(一定期間)のメリット・デメリット

定期保障とは、保険期間が決められている保険です。保険期間は10年、20年、60歳までなど、様々なものがあります。
メリット:保険料の安さと必要な期間の保障
1.保険料が割安: 保障が一定期間に限定されるため、終身保険に比べて保険料が安価です。月々の負担を大きく抑えられます。
2.必要な期間に手厚く備えられる: 子どもの独立までなど、保障が特に必要となる特定の期間に、少ない保険料で大きな保障を確保できます。
デメリット:保障の終了と保険料上昇のリスク
1.保障期間の満了: 満期を迎えると保障がなくなってしまいます。
2.更新時の保険料上昇: 更新型の場合、満期を迎えて更新すると、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、保険料が上がります。
3.掛け捨て: 満期を迎えても、解約返戻金がほとんどないため、貯蓄性はありません。
ライフプランに合わせた最適な期間の選び方

終身保障と定期保障、どちらを選ぶべきかは、あなたのライフプランによって異なります。
「保障が必要な期間」で決める
・子育て世代: 子どもが独立するまでの期間など、「保障が必要な時期」が明確な場合は、定期保険がおすすめです。保険期間を子どもの独立までとし、必要な期間だけ手厚い保障を安価に確保できます。
・定年後の備え: 葬儀費用や老後の生活資金など、「保障が一生涯必要」な場合は、終身保険がおすすめです。保障額を少額に抑えることで、保険料負担も抑えられます。
「家計の負担」と「貯蓄」で決める
・保険料を安く抑えたい: 月々の保険料負担を最小限にしたい場合は、定期保険がおすすめです。
・貯蓄性も重視したい: 万が一の備えをしながら、資産形成も行いたい場合は、終身保険がおすすめです。ただし、保険料は定期保険よりも高くなります。
「終身保険」と「定期保険」の組み合わせ
ハイブリッド型: 「老後の備えとして一生涯の保障は確保したいけど、子育て期間中はより手厚い保障が必要」という場合は、終身保険と定期保険を組み合わせる方法も有効です。
・終身保険: 老後の葬儀費用など、一生涯必要な保障を少額で契約。
・定期保険: 子どもが独立するまでなど、特定の期間だけ、終身保険に上乗せして手厚く保障を確保。
税金について
・死亡保険金: 死亡保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係性によって、相続税、所得税、贈与税のいずれかの税金がかかります。
・解約返戻金や満期保険金: 受け取った解約返戻金や満期保険金は、一時所得として課税対象となる場合があります。受け取り額が払込保険料の総額を上回った場合に税金がかかります。
まとめ:生命保険の保険期間は「必要な期間」と「家計」で賢く選ぶ
生命保険の保険期間は、万が一の事態からご自身と大切な家族を守るための重要な備えです。
・終身保障は、一生涯の安心と貯蓄性というメリットがある一方、保険料が割高です。
・定期保障は、保険料が安く、必要な期間だけ手厚い保障を確保できますが、保障は終了します。
・あなたのライフプランに合わせ、どちらか一方を選ぶだけでなく、組み合わせて活用することも検討しましょう。
この記事を参考に、あなたに最適な保険期間を選び、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。