生命保険
独身者向け生命保険の選び方:万が一の備えと将来設計

「結婚する予定もないけど、老後のためにも保険に入っておいた方がいいのかな?」
独身者の方の中には、「もしものことがあっても、守るべき家族がいないから、生命保険は不要だ」と考えている方もいるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか? 独身だからこそ直面するリスクや、将来の自分への備えとして、生命保険が重要な役割を果たすケースは多く存在します。
この記事では、独身者でも死亡保険が必要なケースを解説します。そして、医療保険・がん保険といった生存時のリスクへの備えの重要性や、貯蓄型保険や個人年金保険を活用した資産形成まで。独身者のライフスタイルに合わせた賢い生命保険の選び方を提案します。
独身者でも死亡保険が必要なケース

死亡保険の最大の役割は、遺された家族の生活を守ることです。しかし、独身者でも、万が一の際に「お金で困る人がいる」場合は、死亡保険の加入を検討すべきです。
親への介護負担や葬儀費用
・親の生活費・介護費用:自身が亡くなった場合、同居している親の生活費や、将来かかる可能性のある介護費用を、兄弟姉妹が負担することになるかもしれません。死亡保険金があれば、そうした経済的負担を軽減できます。
・自身の葬儀費用:自身の葬儀費用や遺品整理費用などを準備していない場合、家族に金銭的な負担をかけてしまいます。死亡保険金でこれらの費用をカバーしておくことで、家族への心づかいとなります。
借入金の返済
・奨学金や住宅ローンの残債:自身が亡くなった場合、奨学金や住宅ローンなどの借入金が残っていると、家族に返済義務が生じる場合があります。団信(団体信用生命保険)が付いていない住宅ローンの場合などは、特に注意が必要です。
死亡保険の必要保障額
独身者の死亡保険の必要保障額は、親の生活費の援助額、借入金の残債、そして自身の葬儀費用などを考慮して決めましょう。子育て世代のように高額な保障は必要ない場合が多いため、定期保険や終身保険で少額の保障を安価に確保するのがおすすめです。
独身者にこそ重要!医療保険・がん保険の備え

独身者が最も重視すべきは、病気やケガで働けなくなった時のリスクです。一人で生活しているため、入院や療養で収入が途絶えると、生活が立ち行かなくなってしまうかもしれません。
医療保険・がん保険の重要性
1.収入の確保:入院や療養で働けない期間、収入が途絶えます。医療保険やがん保険からの給付金は、その間の生活費を補うための重要な資金となります。
2.高額な治療費への備え:日本の公的医療保険には高額療養費制度がありますが、それでも自己負担分(差額ベッド代、食事代など)は発生します。先進医療など、公的医療保険の対象外の治療には、数百万円かかることもあります。医療保険やがん保険は、このような高額な治療費に備えるための保険です。
3.就業不能リスクへの備え:医療保険やがん保険に加えて、病気やケガで長期間働けなくなった際の収入減を補う「就業不能保険」も、一人で家計を支える独身者には非常に有効な選択肢です。
医療保険・がん保険の選び方
・終身型を選ぶ:若いうちに加入すれば、保険料が安価で、一生涯保障が続きます。健康なうちに加入することで、老後の医療費不安を解消できます。
・特約を厳選する:先進医療特約や入院一時金特約など、ご自身のニーズに合った特約を厳選しましょう。不要な特約を外すことで、保険料を安く抑えられます。
・貯蓄とのバランス:医療費や治療費を「貯蓄」で賄うという選択肢もあります。ご自身の貯蓄額に応じて、どこまで保険で備えるか、そのバランスを考えましょう。
貯蓄型保険や個人年金保険での資産形成

独身者にとって、生命保険は万が一の備えだけでなく、将来の自分への投資、つまり資産形成のツールとしても活用できます。
貯蓄型保険での資産形成
終身保険:
・特徴: 一生涯の死亡保障と貯蓄性を兼ね備えています。
・活用法: 払い込みを終えた後、解約返戻金を受け取り、老後資金として活用できます。
養老保険:
・特徴: 満期時に死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れます。
・活用法: 満期を老後や特定の年齢に設定し、まとまった資金を貯めることができます。
個人年金保険での老後資金準備
・仕組み:毎月保険料を積み立てて、将来の決まった時期から年金として受け取れる保険です。
・活用法:
・公的年金に上乗せする「自分年金」として活用できます。
・払込保険料に応じて「個人年金保険料控除」という税制メリットも受けられます。
【重要】 iDeCoやNISAも、老後資金準備のための強力な税制優遇制度です。貯蓄型保険と合わせて、iDeCoやNISAを賢く活用することで、より効率的に資産を形成できます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
iDeCoを通じた資産形成の全体像:拠出から受け取りまでの一貫戦略
NISAとは?2025年最新情報!初心者にもわかりやすく徹底解説
まとめ:独身者向け生命保険は「自分」を守るための備え
独身者向けの生命保険は、遺族のためだけでなく、「将来の自分」や「万が一の自分」を守るための備えです。
・死亡保険: 親の介護負担や自身の葬儀費用など、お金で困る人がいる場合に検討しましょう。
・医療保険・がん保険: 収入が途絶えるリスクに備えるために、生存時の保障を重視しましょう。
・貯蓄型保険・個人年金保険: 資産形成のツールとして活用し、将来の自分を助けるための資金を準備しましょう。
この記事を参考に、あなたのライフスタイルに合わせた最適な生命保険を選び、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。