火災保険
火災保険は本当に必要?持ち家・賃貸・マンションの状況別に徹底検証

火災保険は「万が一」に備える代表的な保険ですが、本当に必要なのか疑問に感じる方も多いでしょう。本記事では、持ち家・賃貸・マンションのケースごとに必要性を解説し、「不要」と言われるケースのリスクや最新の住宅火災件数データを踏まえて徹底検証します。
持ち家(一戸建て)に火災保険が必要な理由

持ち家の場合、火災で住宅が損壊すると修繕費用をすべて自己負担しなければなりません。特に全損となれば数千万円規模の損害が発生する可能性があります。金融機関の住宅ローンを利用している場合、多くは火災保険加入が融資条件となっており、生活再建のためにも火災保険は必須といえます。
賃貸物件で加入する火災保険の役割と借家人賠償責任

賃貸物件に住む場合、建物自体は大家の資産であるため、入居者は建物を守るための火災保険に加入する必要はありません。ただし、借主の過失で火災を起こした場合には借家人賠償責任が発生し、原状回復費用を請求されることがあります。賃貸向け火災保険はこのリスクに備えると同時に、家具・家電などの家財保険もカバーする仕組みになっています。
マンションに火災保険が必要な理由と共用部分の考え方

マンションでは管理組合が共用部分を保険でカバーしている場合がありますが、専有部分(自室内)は個人で備える必要があります。火災や水漏れによる損害は自室に限らず下階への個人賠償責任が発生するケースもあり、マンション居住者にとっても火災保険は欠かせません。
「火災保険は不要」と言われるケースとそのリスク

「持ち家が古いから不要」「貯蓄で対応できる」という理由で火災保険に加入しない方もいます。しかし、住宅火災は生活再建費用を自己資金でまかなう必要があり、多額の負担となります。また失火責任法により、通常の失火で隣家への損害賠償責任を負うことはありませんが、故意や重大な過失があった場合には賠償責任が発生するリスクもあります。加入しない場合は、災害発生時に生活再建が困難になる可能性が高まります。
住宅火災の件数推移から見る火災保険の必要性

火災件数は年々減少傾向にあるものの、依然として毎年1万件以上の住宅火災が発生しています。死亡者数も年間1,500人規模にのぼり、「自分には関係ない」とは言えません。
最新の住宅火災統計
総務省消防庁の統計によると、令和5年(2023年)の総出火件数は38,672件、そのうち住宅火災は12,112件でした。火災による死者数は1,503人、うち住宅火災による死者数は1,023人にのぼります。件数は減少傾向にあるものの、依然として高い水準にあります。
出典:総務省消防庁
まとめ:住まいの形態に合わせた備えの重要性
火災保険は、持ち家・賃貸・マンションいずれのケースにおいてもリスクに応じた備えが必要です。持ち家は生活再建、賃貸は借家人賠償責任、マンションは専有部分と賠償責任に備えるという役割があります。住宅火災の現状を踏まえると、火災保険を不要と判断するのは大きなリスクであり、自身の住まいに合わせた保障を検討することが重要です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。