火災保険
火災保険の保険料はどう決まる?仕組みと算出要素を徹底解説

火災保険の保険料は、同じ建物でも条件によって大きく異なります。構造や所在地、評価額の設定方法、さらには保険会社が採用する料率の仕組みまでが影響します。本記事では、火災保険料がどのように算出されるのかを徹底解説し、無駄のない加入に役立つ情報をお届けします。
火災保険料を左右する3つの要素:構造・築年数・所在地

火災保険の保険料は、大きく分けて以下の要素で決まります。
・建物の構造:木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造によって、火災に対する耐久性が異なります。木造は燃えやすいため料率が高め、鉄筋コンクリート造は耐火性が高く料率が低めに設定されます。
・築年数:築年数が古い建物は耐火性能や設備の劣化リスクが高くなるため、保険料も上がる傾向にあります。
・所在地:地域によって火災発生率や自然災害リスクが異なり、料率に反映されます。特に地震や台風の多い地域では、火災以外のリスクも加味されることがあります。
建物と家財の評価額(時価・新価)が保険料に与える影響

火災保険では、補償対象となる建物や家財の評価額が保険料に大きく影響します。評価額には以下の2種類があります。
・時価評価額:購入時の価格から経過年数による減価を差し引いた金額。実際の資産価値に近い反面、修理や再購入費用をカバーしきれない場合があります。
・新価(再調達価額):同等の建物や家財を新たに建て直す・購入するために必要な金額。補償が手厚い分、保険料は高くなります。
自宅や家財の状況に合わせて、適切な評価額を選ぶことが無駄のない保険料につながります。
支払い方法の種類と保険料の節約効果

火災保険の保険料は、支払い方法によっても差が出ます。
・一括払い:長期契約を一括で支払うと、分割払いより割安になるケースが一般的です。
・分割払い:月払いや年払いにすると利便性は高いですが、割増しになることがあります。
契約期間や家計の状況に応じて支払い方法を工夫することで、保険料の節約が可能です。
損保料率機構の「参考純率」とは?保険料改定の仕組み

火災保険料の背景には、損害保険料率算出機構(損保料率機構)が算出する「参考純率」があります。参考純率とは、過去の災害データや保険金支払実績をもとに計算された基礎的な料率で、各保険会社はこれを参考に保険料を決定します。
自然災害の増加や建築費の高騰などによって、参考純率は定期的に見直されます。これにより、火災保険料全体が改定される仕組みになっているのです。
まとめ:保険料の仕組みを理解して無駄なく加入しよう
火災保険料は、建物の構造・築年数・所在地、補償対象の評価額、支払い方法、さらには損保料率機構の参考純率など、多様な要素で算出されます。仕組みを理解することで、必要な補償を確保しながらも無駄な負担を減らすことができます。契約前に各要素をよく確認し、自分に最適な火災保険を選ぶことが重要です。
最新データの挿入
損害保険料率算出機構によると、火災保険の参考純率は近年の自然災害増加を背景に見直しが行われています。2022年10月には全国平均でおよそ10%前後の引き上げが実施されました。さらに2023年6月には、住宅総合保険の参考純率が全国平均で13.0%引き上げとなり、保険料水準全体に大きな影響を与えています。
また、2023年の改定では水災リスクの区分が5段階に細分化されました。これにより、地域ごとの洪水や台風など水災リスクがより正確に反映される仕組みとなり、リスクの低い地域では保険料の抑制効果が期待できる一方、リスクの高い地域では引き上げとなるケースもあります。
このように、気候変動や自然災害リスクの増大に応じて、今後も参考純率の改定が継続される見込みです。契約を検討する際は、直近の改定動向を確認することが重要です。
出典:損害保険料率算出機構
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。