税金(一般的な内容)
消費税の仕組みをわかりやすく解説|標準税率10%・軽減税率8%の対象品目と非課税取引

消費税は、商品の購入やサービスの利用時に課される間接税で、標準税率10%(うち国税7.8%・地方消費税2.2%)が適用されます。2019年10月の税率引き上げと同時に軽減税率制度が導入され、飲食料品や定期購読の新聞には8%が適用されています。日常の買い物に直結する税金でありながら、課税・非課税の区分や軽減税率の対象品目は意外と複雑です。この記事では、消費税の基本的な仕組みから軽減税率の具体的な対象品目、消費税がかからない非課税取引まで、体系的に解説していきます。
消費税とは?基本的な仕組みと特徴

消費税は、国内で行われるほぼすべての商品販売やサービス提供に対して課される間接税です。ここでは、消費税の基本的な性質と、他の税金との違いを整理します。
消費税は「間接税」のひとつ
消費税は、税金を負担する人(消費者)と納める人(事業者)が異なる「間接税」に分類されます。所得税や住民税のように、稼いだ人が直接納める「直接税」とは性質が異なるのが特徴です。
スーパーやコンビニで買い物をするとき、商品代金とあわせて支払っている消費税は、お店(事業者)が一旦預かり、後でまとめて国に納付する仕組みになっています。つまり、消費者が日々の買い物で負担した税金を、事業者が代わりに納めているということです。
また、消費税は酒税やたばこ税のように特定の商品だけに課される「個別消費税」とは異なり、消費全般に広く公平に課税される点も押さえておきましょう。
消費税の税率は「標準税率10%」と「軽減税率8%」の2種類
2019年10月1日の税率引き上げにより、消費税率は原則として10%となりました。この10%のうち、国税分が7.8%、地方消費税分が2.2%という内訳になっています。
一方、食料品など生活に欠かせない品目については、低所得者への配慮から軽減税率8%(国税6.24%・地方消費税1.76%)が適用されています。軽減税率の詳しい対象品目は、後述のとおりです。
仕入税額控除で税の二重課税を防いでいる
消費税は、生産・流通の各段階で課税されますが、同じ商品に対して税が二重・三重に課されることがないよう、「仕入税額控除」という仕組みが設けられています。
たとえば、メーカーが原材料を仕入れるとき、仕入先に消費税を支払うことになります。その後、完成品を販売する際にも消費税を受け取りますが、納税時には「受け取った消費税 − 支払った消費税」の差額だけを納める仕組みです。
この仕入税額控除の適用を受けるには、2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)のもとで、原則としてインボイス発行事業者から交付を受けた適格請求書の保存が必要となっています。
軽減税率8%の対象品目と判断のポイント

軽減税率8%は、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の2つが対象です。ここでは、判断に迷いやすいケースを整理します。
飲食料品は原則8%だが「外食」と「酒類」は10%
軽減税率の対象となる「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)を指します。スーパーやコンビニで購入する食料品・飲料には、原則として8%が適用される仕組みです。
ただし、以下は軽減税率の対象に含まれません。
・酒税法に規定する酒類(ビール、ワイン、日本酒、焼酎など)
・外食(飲食設備のある場所で提供される飲食サービス)
・ケータリング・出張料理等(相手方が指定した場所で行う調理・給仕を伴う飲食料品の提供)
「テイクアウト」と「イートイン」で税率が変わる
同じハンバーガーやコーヒーでも、テイクアウト(持ち帰り)は軽減税率8%、店内飲食(イートイン)は標準税率10%となります。購入時点で持ち帰りか店内飲食かを事業者が確認し、適用税率を判断する仕組みです。
具体的な判断例は以下のとおりとなります。
・コンビニのお弁当を持ち帰る → 8%
・コンビニのイートインコーナーで食べる → 10%
・牛丼チェーンのテイクアウト → 8%
・牛丼チェーンの店内飲食 → 10%
・出前やデリバリー → 8%
・ケータリング(調理・給仕付き) → 10%
出前やデリバリーは、単に飲食料品を届けるだけなので軽減税率の対象となります。一方、ケータリングは調理や給仕といったサービスが伴うため、標準税率が適用される点に注意しましょう。
新聞は「定期購読+週2回以上発行」が条件
新聞に軽減税率8%が適用されるのは、定期購読契約が締結されており、かつ週2回以上発行されるものに限られます。コンビニや駅の売店で購入する新聞は定期購読に当たらないため、10%の標準税率が適用されます。
スポーツ新聞や英字新聞であっても、定期購読契約があり週2回以上発行されていれば軽減税率の対象です。一方、電子版の新聞(デジタル配信)は「電気通信利用役務の提供」に該当するため、定期購読であっても10%が適用される点は見落としやすいポイントとなっています。
一体資産の判定基準
おもちゃ付きのお菓子のように、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている商品は「一体資産」と呼ばれます。一体資産に軽減税率が適用されるには、以下の2つの条件を両方満たさなければなりません。
・税抜価額が1万円以下であること
・食品の価額が全体の3分の2以上を占めること
この2つの条件をどちらも満たす場合は全体が8%、満たさない場合は全体が10%となります。
消費税がかからない「非課税取引」とは

消費税は原則としてすべての国内取引に課税されるものの、税の性格上なじまないものや社会政策的な配慮から、消費税が課されない「非課税取引」が法律で定められています。
消費の性格になじまない取引
以下のような取引は、物やサービスの「消費」に対して課税するという消費税の趣旨にそぐわないため、非課税です。
・土地の譲渡・貸付け(1か月未満の貸付けや駐車場利用を除く)
・有価証券等の譲渡(株式、国債、社債など)
・預貯金の利子や保険料を対価とするサービス
・郵便切手類・印紙の譲渡
・商品券・プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
・国等が行う一定の事務に係る手数料(住民票の発行手数料など)
・外国為替業務に係る役務の提供
社会政策的な配慮による非課税取引
国民生活を守るための社会政策的配慮から、以下の取引も非課税とされています。
・社会保険医療の給付等(健康保険法や国民健康保険法による医療、労災保険・自賠責保険の対象となる医療など)
・介護保険サービスの提供
・社会福祉事業等によるサービスの提供
・助産に係る資産の譲渡等
・埋葬料・火葬料
・身体障害者用物品の譲渡・貸付け
・学校教育法に規定する授業料・入学金・施設設備費等
・教科用図書の譲渡
・住宅の貸付け(契約で居住用と明示されたものに限る。1か月未満は除く)
たとえば、病院での診察代(保険診療分)には消費税がかかりません。しかし、美容整形や差額ベッド代、市販薬の購入は課税対象となる点に注意が必要です。また、住宅の家賃は非課税ですが、事務所や店舗としての賃貸は課税対象になります。
免税事業者と課税事業者の違い

消費税の納税義務は、すべての事業者に課されるわけではありません。事業規模によって「免税事業者」と「課税事業者」に分かれ、それぞれ取り扱いが異なります。
基準期間の課税売上高1,000万円以下が免税事業者
基準期間(原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」となります。個人事業者の場合は、前々年の1月1日から12月31日までが基準期間です。
ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(個人事業者の場合は前年1月1日から6月30日まで)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、免税事業者にならないため注意しましょう。
インボイス制度と免税事業者の関係
2023年10月に開始したインボイス制度では、仕入税額控除の適用を受けるためにインボイス(適格請求書)の保存が求められます。インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者」として登録した課税事業者のみであり、免税事業者はインボイスを発行できません。
そのため、取引先がインボイスを求める場合、免税事業者は課税事業者への転換を検討する必要が出てきます。この点については、経過措置として2割特例が設けられています。
2割特例(経過措置)の活用
免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者になった場合、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間において、納付する消費税額を「売上に係る消費税額の2割」とする特例が利用可能です。
たとえば、年間の課税売上高が500万円(税抜)の場合、受け取った消費税は50万円となります。2割特例を適用すると、納付額は50万円 × 20% = 10万円で済みます。
この特例は、事前届出なしで確定申告時に選択できるため、インボイス登録を行った小規模事業者にとって利用しやすい制度です。ただし、この経過措置には期限がある点に留意しましょう。
家計への影響と消費税を意識した支出管理

消費税は所得に関係なく同じ税率が適用されるため、所得に占める消費税負担の割合は、低所得層ほど高くなる「逆進性」があると指摘されています。この逆進性を緩和するために導入されたのが軽減税率制度で、食料品など生活に欠かせない品目の税率を8%に据え置くことで、家計への影響を抑える狙いがあります。
軽減税率の仕組みを知っておくと、日常の支出を工夫することも可能です。
・外食よりもテイクアウトや自炊を増やすと、食費にかかる消費税率が8%に抑えられる
・新聞を購読する場合は、紙の定期購読(8%)の方が電子版(10%)より消費税負担が軽い
・日用品(ティッシュ、洗剤など)は軽減税率の対象外(10%)であることを意識しておく
ただし、消費税率だけで購入判断をするのではなく、商品やサービスの内容と価格のバランスを総合的に考えることが家計管理の基本です。
まとめ:消費税の仕組みを知って賢く向き合おう
消費税は国内のほぼすべての商品販売・サービス提供に課される間接税で、現在は標準税率10%と軽減税率8%の2種類が適用されています。軽減税率の対象は「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約のある週2回以上発行の新聞」に限られ、テイクアウトと店内飲食で税率が異なるなど、やや複雑な面もあります。
また、土地の譲渡や医療費(保険診療分)、住宅の家賃といった非課税取引も押さえておくと、家計に関わるさまざまな場面で正しい判断がしやすくなるでしょう。
消費税は毎日の生活に直結する税金だからこそ、仕組みを正しく理解し、賢く向き合うことが大切です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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