自動車保険
東京海上日動、自動車保険料を平均8.5%値上げ!家計への影響と賢い対策

2025年10月より、東京海上日動火災保険が自動車保険料を平均8.5%値上げすることが発表されました。これは2008年以降で最大の上げ幅となり、今年1月の3.5%値上げに続く異例の年2回の改定となります。
物価上昇による修理費用や部品代の高騰、さらには事故件数の高止まりが背景にあります。この値上げは私たちのカーライフにどのような影響を与えるのでしょうか?そして、私たちはどうすれば賢く対応できるのでしょうか?
なぜ自動車保険料が値上がりするの?
今回の自動車保険料値上げの主な理由は次の3つです。
物価上昇による修理費・部品代の高騰
最近の車には衝突被害軽減ブレーキなどの安全運転支援システムが搭載され、多くのセンサーやカメラが取り付けられています。このため、万が一の事故の際の修理は高度な技術が必要となり、部品代も高額化しています。さらに、電気代や人件費の上昇も修理・整備費用の増加に拍車をかけています。経済産業省のウェブサイトでも「乗用車の価格上昇の要因を探る」という記事が公開されており、修理費高騰の実態がうかがえます。
交通事故件数の高止まり
新型コロナウイルスの流行で一時的に減少した自動車の交通量が回復し、それに伴い交通事故の件数も高止まり傾向にあります。これにより、保険金の支払いが想定を上回る状況が続き、保険会社の収益を圧迫しています。
保険業界全体の厳しい現状
東京海上日動だけでなく、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険といった他の大手損害保険会社も今年度中の引き上げを検討しています。これは、自動車保険事業全体として厳しい収支状況に直面していることを示唆しています。
自動車保険の種類と「無保険車」の現状

自動車保険と一言で言っても、実は2つの種類があります。
自賠責保険(強制保険)
これは車検時に加入が義務付けられている保険で、対人事故による損害を補償します。多くの人は意識せずとも加入しており、「無車検車両」でない限り、通常は未加入ということはありません。
任意保険
私たちが一般的に「自動車保険」と呼ぶのはこちらです。自賠責保険だけでは補償しきれない部分(対物、自身のケガ、車両損害など)をカバーするために、任意で加入するものです。
意外に思われるかもしれませんが、この任意保険には未加入の車も存在します。損害保険料率算出機構の統計によると、全国平均で約10%の車が任意保険に加入していない「無保険車」だと言われています。
地域によってはこの割合が高く、例えば沖縄県では約2割の車が無保険というデータもあります。事故を起こさないことはもちろん重要ですが、もし無保険車との事故に巻き込まれた場合、十分な補償を受けられないリスクがあるため、ご自身の備えがより重要になります。
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」2024年(2023年度統計)133ページ
自動車保険料の値上げにどう対策する?

今回の値上げは家計に少なからず影響を与える可能性がありますが、いくつかの対策を講じることで保険料を抑えることができます。
車種選びの工夫
実は、車種によって保険料の「料率クラス」が異なります。これは、過去の事故データに基づいて自動車の種類ごとに事故の起こりやすさを数値化したものです。保険料算出の際、この料率クラスが高いほど保険料も高くなります。
購入を検討している車種がある場合、損害保険料算出機構のウェブサイトで「型式別料率クラス検索」を利用し、比較してみるのがおすすめです。料率クラスが低い車種を選ぶことで、保険料を抑えられる可能性があります。
免責金額(自己負担額)の設定
保険金を請求する際に、契約者が自己負担する金額を「免責金額」と言います。例えば免責金額を5万円と設定した場合、修理費用が20万円なら、そのうち5万円は自己負担となり、残りの15万円が保険金として支払われます。
免責金額を高く設定するほど、保険料は安くなります。万が一の出費に備えられるだけの貯蓄がある場合は、免責金額を数万円から数十万円に設定することも検討してみましょう。
車両保険の見直し
車両保険は、自身の車の損害を補償するものです。新車購入時には必要性が高いですが、車の価値が下がるにつれて、その必要性も変わってきます。車両保険の加入率は全国平均で約47%と高くありません。
盗難リスクの高い車種や自然災害が多い地域にお住まいの場合は必要性が高いですが、古い車で買い替えを検討している場合などは、車両保険を外すことも選択肢の一つです。
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」2024年(2023年度統計)111ページ
年齢条件や運転者限定の設定
運転する人の年齢を制限したり、運転者を家族に限定したりすることで、保険料を抑えることができます。若い年代の運転者がいる場合は、事故リスクの低い車種を選んだり、中古車にすることで保険料と車両価格のバランスを取るのも良いでしょう。
ゴールド免許証の取得
無事故・無違反を続けると取得できるゴールド免許証は、保険料が割引される大きなメリットがあります。日頃から安全運転を心がけ、ゴールド免許を維持することが保険料節約にもつながります。
まとめ
今回の東京海上日動の自動車保険料値上げは、物価上昇や修理費高騰、そして事故件数の高止まりといった複合的な要因によるものです。これは自動車保険業界全体に広がる可能性があり、私たちのカーライフに直接的な影響を及ぼします。
しかし、闇雲に値上げを受け入れるのではなく、ご自身の車の使い方やライフスタイルに合わせて、保険料を抑えるための対策を検討することが可能です。今回ご紹介した対策を参考に、一度ご自身の自動車保険を見直してみてはいかがでしょうか?
ご自身の車の保険料がどのように変わるか、また具体的な対策について知りたい場合は、保険会社や代理店に相談してみることをお勧めします。