生命保険
定年退職後の生命保険:必要な保障と不要な保障の見極め

「長年かけてきた保険、やめても大丈夫かな?老後の保障が不安…」
定年退職は、人生の大きな節目です。仕事中心だった生活から年金生活へと変わり、家計やライフプランも大きく変化します。それに伴い、これまで万が一の備えとして加入してきた生命保険についても、見直しや整理が必要になります。
この記事では、定年退職後の生命保険の考え方を解説します。老後のライフプランと必要資金を明確にし、現役時代に加入した保険の必要性を再検討します。さらに、終身保険の解約返戻金や年金支払いなど、定年退職後の保険を賢く活用する方法まで。老後の保障を最適化し、安心してセカンドライフを送るためのヒントを提案します。
老後のライフプランと必要資金

定年退職後の生命保険を見直す前に、まずは老後の生活設計を具体的にイメージすることが重要です。
老後の生活費を考える
生活費:
・公的年金(国民年金・厚生年金)が、老後の生活を支える主な収入源となります。
・ねんきん定期便などで、将来受け取れる年金額を確認しましょう。
・夫婦や単身世帯の平均的な生活費の目安を参考に、年金だけで不足する部分を特定します。
ゆとりある生活費:旅行、趣味、レジャーなど、より豊かな老後を過ごしたい場合は、生活費にプラスアルファの金額を上乗せして考えます。
万が一の際の必要資金を再考する
現役時代とは異なり、定年退職後は万が一の事態に備えるべき資金も変わってきます。
・子どもの独立:子どもが独立し、扶養義務がなくなれば、子どもの教育費や生活費を保障する必要はなくなります。
・住宅ローンの完済:定年までに住宅ローンを完済していれば、団信(団体信用生命保険)やローンの返済に備える必要はなくなります。
・葬儀費用など:自身の葬儀費用や、残された配偶者の生活費など、老後に必要となるお金を改めて考えましょう。
現役時代に加入した保険の必要性再検討

老後のライフプランと必要資金を明確にしたら、現役時代に加入した保険を「必要な保障」と「不要な保障」に分けて見直しましょう。
不要になる可能性が高い保障
・大きな死亡保障:子育て世代のように大きな死亡保障が必要だった場合でも、子どもが独立し、住宅ローンも完済していれば、高額な死亡保障は不要になる可能性が高いです。
・就業不能保障:定年退職し、収入が途絶えれば、病気やケガで働けなくなった際の収入減をカバーする就業不能保険は、基本的に不要になります。
必要性が高まる可能性がある保障
医療保険・がん保険:
・年齢を重ねるごとに病気のリスクは高まるため、医療費への備えの重要性は増していきます。
・高額療養費制度だけでは賄えない差額ベッド代や、先進医療費への備えとして、医療保険やがん保険は必要性が高まります。
介護保険:老後の介護費用は高額になる傾向があります。公的介護保険だけでは賄いきれない費用に備えるため、民間介護保険の加入を検討しましょう。
葬儀費用など:葬儀費用など、必ず必要となるお金を準備するための終身保険は、老後も必要性が高いです。
終身保険の活用:解約返戻金、年金支払いなど

現役時代に加入していた終身保険は、定年退職後も様々な形で活用できます。
解約返戻金を老後資金として活用する
仕組み:終身保険は、払い込みを終えた後、解約した際に「解約返戻金」が受け取れます。
活用法:
・解約返戻金を、趣味や旅行など、老後の生活を豊かにするための資金として活用できます。
・ただし、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を上回らないと、損をするリスクがあるため、解約時期を慎重に判断しましょう。
終身保険を「年金」として受け取る
・仕組み:多くの終身保険には、解約返戻金などを原資として、年金として受け取れる「年金支払い特約」が付加できる場合があります。
・活用法:終身保険の資産を、公的年金に上乗せする「自分年金」として活用できます。
注意点:終身保険の解約返戻金を年金化する場合、その受け取り方や税金(一時所得、雑所得など)についても確認しておきましょう。
終身保険を「契約者貸付」で活用する
・仕組み:貯蓄性のある保険(終身保険など)は、解約返戻金の範囲内でお金を借りる「契約者貸付」が利用できます。
活用法:
・老後の急な出費や、一時的な資金不足の際に活用できます。
・保険契約を解約せずに済むため、保障を維持したまま資金調達ができます。
まとめ:定年退職後は「必要な保障」と「貯蓄」で生命保険を見直す
定年退職後は、現役時代とは異なるリスクに備え、生命保険を賢く見直すことが重要です。
・不要な保障(高額な死亡保障、就業不能保障)を見極めましょう。
・必要な保障(医療保険、がん保険、介護保険)を再確認し、終身保険の活用も視野に入れて、老後の備えを万全にしましょう。
・終身保険の解約返戻金や年金支払いを活用することで、老後資金を豊かにする手段として活用できます。
この記事を参考に、定年退職後のライフプランに合わせた最適な生命保険を選び、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。