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定年後も収入を得る!年金+αで生活を豊かにする6つの方法と注意点

「年金だけで老後の生活費は足りるのだろうか?」と不安を感じている方は少なくないでしょう。実際に、公的年金だけでゆとりある暮らしを送ることは難しいケースが多く、定年後も何らかの形で収入を得ている方は年々増えています。
この記事では、定年後に年金以外の収入を得る6つの方法と、働きながら年金を受け取る際に注意すべき「在職老齢年金」の仕組みについて、わかりやすく解説します。
なぜ年金+αの収入が必要なのか

公的年金の受給額だけでは、ゆとりある老後生活の費用をまかなうのは難しいのが現実です。定年後の収入確保は、経済面だけでなく生きがいの面でも重要な意味を持ちます。
年金だけでは不足する現実
2025年度(令和7年度)の公的年金額は、国民年金のみに40年間加入した方の老齢基礎年金(満額)で月額約6万9,308円となっています。また、厚生年金のモデル世帯(夫が平均的な収入で40年間勤務し、妻がその間すべて専業主婦だった場合)の年金額は、夫婦合わせて月額約23万2,784円です。
一方で、生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後の生活費は夫婦で月額平均約39.1万円が必要と考えられています。年金だけではまかなえない家庭が多いのが現実でしょう。
出典:生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
長生きリスクと収入を得るメリット
日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳です。65歳で定年退職した場合、20年以上にわたる「老後期間」の生活費を確保しなければなりません。貯蓄の取り崩しだけでは、想定以上に長生きした場合に資金が底をつくリスクがあります。
定年後に収入を得ることには、経済面の安定だけでなく、社会とのつながりを維持できること、規則正しい生活リズムが保てること、心身の健康を維持しやすいことなど、複数のメリットがあります。「お金のため」だけでなく、「生きがいのため」に働いているシニア世代も少なくありません。
【方法1】継続雇用・再雇用

高年齢者雇用安定法により、企業には65歳までの雇用確保措置が義務づけられています。現在、ほぼすべての企業が何らかの措置を講じている状況です。
65歳までの雇用確保
厚生労働省の令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(2024年6月1日時点)によると、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%に達しました。
出典:厚生労働省「令和6年 高年齢者雇用状況等報告の集計結果」
継続雇用制度
雇用確保措置の内訳をみると、「継続雇用制度の導入」が67.4%で最も多く、次いで「定年の引上げ」が28.7%、「定年制の廃止」が3.9%です。さらに、2021年4月からは70歳までの就業確保措置が努力義務化されており、実施済み企業の割合は31.9%で前年から2.2ポイント増加しています。
メリット・デメリット
メリット:慣れた職場環境で働けるため精神的な負担が少なく、厚生年金に継続加入できるため、将来の年金額を増やせる可能性があります。
デメリット:給与は定年前の5〜7割程度に下がるケースが多く、役職や業務内容が変わることもあります。モチベーションの維持が課題になりやすいでしょう。
【方法2】転職・再就職

60歳以降に新たな職場で働く選択肢もあり、ハローワークではシニア向けの求人や支援体制が整備されています。
ハローワークの活用
ハローワークでは、シニア向けの求人情報を提供しているほか、再就職を支援するセミナーや個別相談も実施しています。65歳以上を対象とした「生涯現役支援窓口」を設置しているハローワークもあり、経験やスキルに合った仕事を一緒に探してもらえるでしょう。
人気の職種
総務省の統計によると、2024年の65歳以上の就業者数は930万人と、21年連続で過去最多を更新しました。就業者全体に占める割合は13.7%に上り、およそ7人に1人が65歳以上です。
産業別では、「卸売業・小売業」が133万人で最多、「医療・福祉」が115万人(10年前比で約2.3倍に増加)、「サービス業」が104万人と続いています。
メリット・デメリット
メリット:新しい環境で経験やスキルを活かせる可能性があり、異なる業界にも挑戦できます。
デメリット:年齢が不利に働く場面もあり、希望に合った求人が限られる場合があります。
【方法3】パート・アルバイト

週2〜3日、1日数時間といった柔軟な働き方ができるのがパート・アルバイトの特徴で、65歳以上の雇用者の約8割が非正規雇用として働いています。
柔軟な働き方
総務省の統計では、65歳以上の役員を除く雇用者563万人のうち、約8割にあたる433万人が非正規雇用(パート・アルバイトを含む)で働いています。
人気の職種とメリット・デメリット
スーパーやコンビニの接客、清掃、軽作業、事務補助などが代表的な職種です。体力や健康状態に合わせて勤務日数や時間を調整しやすい点が魅力といえるでしょう。
メリット:体調や生活リズムに合わせた柔軟な働き方が可能で、扶養の範囲内での就業も調整しやすくなります。
デメリット:時給が低めで収入が限定的になりやすく、正社員と比べて福利厚生が手薄な傾向があります。
【方法4】シルバー人材センター

シルバー人材センターは、高年齢者雇用安定法に基づいて各市区町村に設置されている公益法人で、地域に根ざした就業機会を提供しています。
シルバー人材センターとは
原則として60歳以上の方が会員となり、臨時的・短期的な仕事を請負・委任の形式で引き受けます。雇用関係ではなく、自主的な就業という位置づけになっている点が特徴です。
主な仕事内容と配分金の目安
公園清掃、除草、屋内清掃、事務作業、家事援助、育児支援など、多彩な仕事が用意されています。仕事の対価は「配分金」と呼ばれ、税法上は雑所得に分類されます。安定した収入の保証はないものの、全国平均で月8〜10日就業した場合、月額3〜5万円程度が目安でしょう。
メリット・デメリット
メリット:地域の仲間との交流が生まれ、社会貢献にもつながります。自分のペースで無理なく就業できる点も魅力です。
デメリット:安定した収入を期待しにくく、仕事の種類や量は地域によって差があります。
【方法5】個人事業・フリーランス

長年培ってきた専門知識やスキルを活かし、個人事業主として独立する方法もあります。厚生年金に加入しないため、在職老齢年金の影響を受けない点も特徴です。
スキルを活かす
経営コンサルティング、翻訳・通訳、ライティング、講師業などが代表的な職種です。近年では、クラウドソーシングを活用してインターネット経由で仕事を受注するシニア世代も増えています。
メリット・デメリット
メリット:自分の裁量で働く時間や場所を決められます。また、厚生年金に加入しないため、後述する在職老齢年金による支給停止の影響を受けません。
デメリット:収入が不安定になりやすく、確定申告や帳簿管理などの事務負担が発生します。
開業の手続き
個人事業を始める場合は、事業開始から1カ月以内に管轄の税務署へ「個人事業の開業届出書」を提出します。青色申告の特別控除(最大65万円)を受けたい場合は、「青色申告承認申請書」もあわせて提出が必要です。
【方法6】不動産収入・配当収入

体力に関係なく収入を得られる方法として、不動産収入や配当収入があります。いずれも在職老齢年金の計算対象外となる点がポイントです。
不動産収入
所有する不動産を賃貸に出すことで、毎月の家賃収入を得る方法です。現役時代から投資用マンションやアパートを購入しておけば、定年後の安定した収入源になり得ます。ただし、空室リスクや修繕費の負担がある点には注意が必要でしょう。
配当・利子収入
株式の配当金や債券の利子、投資信託の分配金なども老後の収入源になります。NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、配当金や売却益が非課税になるため、効率的な資産運用が可能です。ただし、元本保証ではないため、価格変動リスクを十分に理解したうえで取り組みましょう。
メリット・デメリット
メリット:体力に関係なく収入を得られ、時間的な拘束がありません。年齢を問わず続けられる点も魅力です。
デメリット:不動産には空室や修繕のリスク、株式等には元本割れの可能性があります。いずれも事前の知識と準備が欠かせません。
在職老齢年金の仕組みと注意点

在職老齢年金とは、厚生年金に加入しながら働く場合に、給与と年金の合計額に応じて年金の一部が支給停止となる制度です。定年後の働き方を考えるうえで、仕組みを正しく理解しておく必要があります。
在職老齢年金とは
在職老齢年金とは、厚生年金に加入しながら働いている60歳以上の方が老齢厚生年金を受け取る場合に、給与と年金の合計額に応じて年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。対象となるのは老齢厚生年金のみであり、老齢基礎年金は減額されずに全額受給できます。
支給停止の基準額
支給停止の判断に使われるのは、「基本月額」(老齢厚生年金の報酬比例部分を12で割った月額)と「総報酬月額相当額」(標準報酬月額+直近1年間の標準賞与額÷12)の2つの合計額です。
2025年度(令和7年度)の支給停止調整額は51万円です。この合計額が51万円以下であれば年金は全額受給でき、51万円を超えた場合は超過額の2分の1が年金から差し引かれます。なお、2026年4月からはこの基準額が65万円に引き上げられる予定であり、年金が減額されずに働けるケースが増える見込みです。
具体的な計算例
■年金が減額されないケース
基本月額10万円+総報酬月額相当額38万円=合計48万円の場合
→ 51万円以下のため、支給停止なし。年金10万円を全額受給できます。
■年金が一部減額されるケース
基本月額10万円+総報酬月額相当額44万円=合計54万円の場合
→ 51万円を3万円超過。支給停止額=3万円÷2=1万5,000円
→ 月額10万円のうち1万5,000円が停止され、受給額は8万5,000円になります。
働き損にならないために
在職老齢年金による支給停止は、あくまで厚生年金に加入している場合に限られます。個人事業やフリーランスとして働く場合は厚生年金に加入しないため、この制度の影響を受けません。また、不動産収入や配当収入といった給与以外の所得も、在職老齢年金の計算対象外となっています。
「年金が減るから働かない」と考える方もいますが、年金の減額分は給与収入の増加分の一部にすぎず、年金と給与を合わせたトータルの手取り額は、働いたほうが増えるのが一般的です。年金だけに注目するのではなく、収入全体で判断することが重要でしょう。
まとめ:自分に合った方法で無理なく収入を
定年後も収入を得る方法は複数あり、体力やスキル、生活スタイルに応じた選択が可能です。在職老齢年金の仕組みを理解し、年金と収入のバランスを考慮することが重要です。
6つの方法の振り返り
定年後に収入を得る方法は、継続雇用・再雇用、転職・再就職、パート・アルバイト、シルバー人材センター、個人事業・フリーランス、不動産収入・配当収入の6つを紹介しました。いずれも一長一短があり、どの方法が最適かはご自身の体力、スキル、生活スタイル、そして「どの程度の収入が必要か」によって異なります。
選ぶポイントと在職老齢年金の注意喚起
どの方法を選ぶ場合でも、在職老齢年金の仕組みは理解しておきましょう。2025年度の支給停止調整額は51万円で、2026年度からは65万円に引き上げ予定です。ご自身の年金額と見込みの収入額をもとに、年金事務所やファイナンシャルプランナーに相談されることをおすすめします。
定年後の人生は長く続きます。無理のない範囲で収入を得ながら、充実した毎日を送っていただければ幸いです。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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