学資保険
学資保険の返戻率ランキングの正しい見方と注意点|自分に合う返戻率の調べ方まで解説

ここではFPの視点から、返戻率ランキングの落とし穴と、あなた自身の条件でより正しく比較する方法をわかりやすく解説します。
ランキング記事に潜む落とし穴

ランキングは視覚的にもわかりやすく、比較の「入り口」には便利です。しかし、それだけで契約を決めてしまうと、以下のような思わぬ不都合に直面する可能性もあります。
・条件のバラつきによる比較
保険料の払込期間や契約者・被保険者の年齢、受取開始年齢などが異なると、返戻率は変動します。条件が統一されていないランキングは、実質的に公平な比較とは言えません。
・受け取り方法の違いによる返戻率の差
一括受け取りは返戻率が高くなる傾向がありますが、それが学費支払いのタイミングと合わない場合、かえって不便になることもあります。分割受け取りでの設計を考えると、返戻率はより現実的に評価できます。
・特約の有無による影響
医療保障や払込免除特約をつけると返戻率は下がりますが、万が一のリスクに備えることができます。ランキングでは特約を外した最大返戻率が掲載されており、実際の契約と違う可能性が高いのです。
・金利やインフレの影響が考慮されていない
返戻率は契約時点の金利で計算されていますが、長期にわたる教育費の上昇(インフレ)によって、実質的なメリットが薄まる場合があります。
自分の条件に合った返戻率の調べ方

返戻率を正しく比較するには、以下のステップを踏むと効果的です。
1.条件を明確に固定する
例:「契約者30歳・子ども0歳・払込期間10年・18歳一括受取」のように設定し、その条件で複数の保険会社から見積もりを取得することで、真に公平な比較が可能になります。
2.保険会社の公式試算ツールを活用する
多くの保険会社サイトには年齢や払込期間、受取方法を入力して返戻率や総受取額を確認できる試算ツールが備わっています。結果を比較・一覧にまとめると理解が深まります。
3.「返戻率」だけでなく「総受取額」も確認する
返戻率が高くても、月々負担が大きすぎたり、総受取額が思ったより少ない場合、教育資金として不足するリスクがあります。
4.ライフプランとの整合性を確認する
学資保険は安全性が高い反面、資金が長期拘束されるため、NISAや貯蓄とのバランスを考えて設計することが重要です。
FPからの専門的見解

返戻率は選択基準の一つですが、それだけで判断すると家計を圧迫しがちです。払込期間を短くして返戻率を上げたことで支払いが重すぎたり、受取時期がズレて学費に使えないといった事態も実際に起こりえます。
FPとしては、次の3点を常に確認すべきと考えます:
・条件を固定して複数社を比較する
・教育資金が必要な時期に確実に現金で用意できる設計かどうか
・家計全体の資金に影響を与えないような支払い計画
まとめ
「学資保険 返戻率ランキング」はあくまで参考情報です。条件に合った返戻率を、自分自身で試算し、教育資金計画やライフプランの中で位置づけを明確にしましょう。数字だけでは読み取れないリスクや条件の違いを見落とさないことが大切です。最終的には、自分の家計と教育方針に照らした判断こそが最良の選択です。
参考文献
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。