学資保険
学資保険の返戻率を高める方法と「返戻率だけで選ばない」ための判断基準

学資保険の返戻率は、払込期間の短縮や年払いへの変更で改善できます。ただし、返戻率だけを追求すると、学資保険の本来の強みを見失う可能性があります。学資保険の最大の価値は「契約者が亡くなった場合でも保険料の払込が免除され、予定どおり教育資金を確保できる」という保険料払込免除機能にあるでしょう。返戻率を高める方法を押さえたうえで、児童手当や就学支援金といった公的支援制度と組み合わせて教育資金全体を設計するのが合理的な考え方です。
返戻率の基本と高める3つの方法

返戻率は「受取総額÷払込保険料総額×100」で計算され、100%を超えていれば払い込んだ以上の金額を受け取れることを意味します。一般的な貯蓄型学資保険の返戻率は103%〜118%程度が目安ですが、契約条件によって変わります。
方法1:払込期間を短く設定する
保険料の払込期間を短くすると、保険会社が運用できる期間と金額が増えるため、返戻率が上がりやすくなります。たとえば18歳まで払い込むより10歳までに払い終えた方が返戻率は高い傾向です。ただし、短期間で払い込む分だけ月々の保険料は高くなるため、家計を圧迫しない範囲で設定することが重要でしょう。
方法2:年払い・一括払いを選択する
月払いよりも年払いや一括払いを選ぶと、保険料の総額が抑えられ、返戻率が改善するケースがあります。年払いは比較的負担を抑えつつ返戻率を上げられる選択肢です。一括払いは返戻率が最も高くなりやすい一方、資金が長期間拘束されるため、途中解約時の元本割れリスクも考慮しなければなりません。
方法3:祝金の受取回数を減らす
小学校・中学校・高校の入学時にも祝金を受け取るプランより、大学入学時に一括で受け取るプランの方が返戻率は高くなる傾向があります。途中で祝金を受け取らない分、保険会社が運用できる金額が増えるためです。高校までの教育費を預貯金でカバーできる見込みがあれば、祝金なしのプランを検討する価値があるでしょう。
返戻率だけで選ばない|学資保険の本質的な価値

返戻率103〜118%は、18年間で3〜18%のリターンであり、年利に換算すると0.2〜1%程度です。資産を増やす手段としては効率が高いとはいえません。学資保険を「投資」として見ると割に合わないと感じる方もいるでしょう。
しかし、学資保険の本質は「投資」ではなく「保険」です。契約者(親)が亡くなった場合や高度障害状態になった場合に、それ以降の保険料が免除され、予定どおり満期保険金が受け取れるという保険料払込免除機能は、他の金融商品にはない学資保険独自の強みといえるでしょう。つまり、学資保険は「教育資金を確実に確保する手段」として評価すべきであり、NISAや預貯金とは役割が異なります。
教育資金全体の設計|公的支援制度を先に確認する

教育資金を準備する際は、返戻率を追求する前に公的な支援制度でどの程度カバーできるかを確認することが重要です。
児童手当|教育資金の土台になる
2024年10月から児童手当は所得制限が撤廃され、高校生年代(18歳の年度末)まで延長されました。第1子・第2子は月額10,000円(3歳未満は15,000円)、第3子以降は月額30,000円が支給されます。第1子の児童手当を0歳から18歳まですべて貯蓄した場合、約234万円になり、国立大学4年間の授業料+入学金(約243万円)の大部分をカバーできる計算です。
出典:こども家庭庁「児童手当」
高校授業料の就学支援金
高等学校等就学支援金により、公立高校の授業料は実質無償化されています。私立高校についても、2026年度から所得制限が撤廃され、授業料支援の上限額が年間最大457,000円に引き上げられる見込みです(3党合意に基づく)。教育費の中で高校の授業料負担は公的支援で軽減できるため、学資保険の目標額を設定する際にはこの分を差し引いて考えることが合理的でしょう。
教育資金の準備は「役割分担」で考える
教育資金全体の設計は、以下のように役割を分けて考えるのが効果的です。
・児童手当:教育資金の土台として預貯金に積み立てる
・学資保険:契約者の万が一に備えつつ、大学入学金など確実に必要な資金を確保する(返戻率の多寡より保険料払込免除の価値を重視)
・預貯金:突発的な教育関連費(塾・習い事・受験費用)にすぐ対応できる流動性の高い資金
・NISA:使用時期まで10年以上ある場合に、成長性を補完する手段として検討。ただし元本割れのリスクがあるため、教育資金のように使用時期が決まっている目的では慎重な運用が必要
まとめ|返戻率を高めつつ、教育資金の全体設計を忘れない
学資保険の返戻率は、払込期間の短縮・年払い・祝金の受取回数削減で改善できます。ただし、返戻率だけで判断すると本質を見失う可能性があります。
・返戻率を高める方法:払込期間の短縮、年払い・一括払いの選択、祝金なしプランの検討
・学資保険の本質は「保険」。保険料払込免除機能(契約者の万が一に備えて教育資金を確実に確保する)が最大の強み
・返戻率103〜118%は年利換算で0.2〜1%程度。資産を増やす目的ならNISAの方が効率的だが、学資保険とは役割が異なる
・児童手当を全額貯蓄すれば約234万円。公的支援制度を先に確認し、不足分を学資保険と預貯金・NISAで補う全体設計が合理的
まずは児童手当の貯蓄額と就学支援金の対象範囲を確認し、「教育資金としてあといくら必要か」を把握したうえで、学資保険の契約条件(払込期間・受取時期)を決めましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しました。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



