税金(一般的な内容)
基礎控除・配偶者控除・扶養控除とは?家族構成で変わる控除額と適用要件をわかりやすく解説

所得税の計算では、個人の事情に応じて課税所得を減らすことができる「所得控除」が設けられています。なかでも基礎控除・配偶者控除・扶養控除は、多くの方に関わる代表的な3つの人的控除です。令和7年度の税制改正では基礎控除額の引き上げや扶養親族等の所得要件の見直しが行われ、適用される金額が変わりました。この記事では、国税庁の公式情報をもとに、3つの控除の仕組み・適用要件・令和7年分からの変更点を整理して解説します。
基礎控除とは|すべての納税者が対象となる基本の控除

基礎控除は、合計所得金額2,500万円以下のすべての納税者に適用される所得控除で、令和7年分から控除額が引き上げられました。他の控除のように特定の条件を満たす必要がなく、国税庁No.1199によれば、確定申告や年末調整において所得税額を計算する際、総所得金額などから差し引くことができる控除の1つとされています。
令和7年分からの基礎控除額
令和7年度の税制改正により、基礎控除額は従来の一律48万円から、合計所得金額に応じて最大95万円まで引き上げられました。令和7年分・令和8年分の控除額は以下のとおりとなっています。
・合計所得金額132万円以下:95万円
・合計所得金額132万円超336万円以下:88万円
・合計所得金額336万円超489万円以下:68万円
・合計所得金額489万円超655万円以下:63万円
・合計所得金額655万円超2,350万円以下:58万円
・合計所得金額2,350万円超2,400万円以下:48万円
・合計所得金額2,400万円超2,450万円以下:32万円
・合計所得金額2,450万円超2,500万円以下:16万円
・合計所得金額2,500万円超:0円(適用なし)
なお、令和9年分以降は、合計所得金額132万円超655万円以下の区間に適用されている段階的な加算措置が終了し、控除額は58万円に統一される予定です。改正前の令和6年分以前は、合計所得金額2,400万円以下であれば一律48万円でした。
給与所得者の非課税ラインはどう変わったか
基礎控除の引き上げに加え、給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に引き上げられました。この2つの控除を合わせると、給与所得者の所得税非課税ラインは従来の年収103万円から160万円へ拡大しています。
ただし、住民税の基礎控除は所得税とは異なるため、所得税が非課税であっても住民税が課税されるケースがある点には注意が必要です。
配偶者控除とは|配偶者の所得が58万円以下で適用

配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、かつ配偶者の合計所得金額が58万円以下の場合に適用される所得控除です。国税庁No.1191によれば、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に一定の金額が差し引かれる制度で、令和7年分から配偶者の合計所得金額要件が「48万円以下」から「58万円以下」に引き上げられました。
配偶者控除の4つの適用要件
配偶者控除を受けるには、その年の12月31日時点で以下の要件をすべて満たす必要があります。
・民法の規定による配偶者であること(内縁関係は対象外)
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が58万円以下(令和6年分以前は48万円以下)であること
・青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
給与収入のみの場合、年間の給与収入が123万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと合計所得金額が58万円以下となり、配偶者控除の対象になります。令和6年分以前は103万円が基準でしたので、20万円引き上げられた形です。
配偶者控除の控除額
控除額は、納税者本人の合計所得金額と配偶者の年齢によって異なります。
・納税者の合計所得金額900万円以下:一般の配偶者38万円、老人控除対象配偶者(70歳以上)48万円
・納税者の合計所得金額900万円超950万円以下:一般26万円、老人32万円
・納税者の合計所得金額950万円超1,000万円以下:一般13万円、老人16万円
・納税者の合計所得金額1,000万円超:適用なし
配偶者特別控除との関係
配偶者の合計所得金額が58万円を超えて配偶者控除の対象外となった場合でも、133万円以下であれば「配偶者特別控除」の適用を受けられる可能性があります。配偶者特別控除は、配偶者の所得が増えるにつれて段階的に控除額が減少する仕組みです。納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合はいずれの控除も受けられません。
扶養控除とは|16歳以上の扶養親族がいる場合に適用

扶養控除は、16歳以上の扶養親族がいる場合に適用され、年齢区分に応じて38万円~63万円の控除が受けられます。国税庁No.1180によれば、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合に受けられる所得控除で、配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)が対象となります。
扶養親族の4つの要件
扶養親族に該当するには、その年の12月31日時点で次の要件をすべて満たす必要があります。
・配偶者以外の親族、里子、または養護を委託された老人であること
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が58万円以下(令和6年分以前は48万円以下)であること
・青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
16歳未満の扶養親族は控除対象扶養親族に含まれないため、所得税の扶養控除は受けられません。ただし、住民税の計算において非課税限度額の判定に影響する場合があるため、「扶養控除等申告書」への記載は引き続き必要です。
年齢区分ごとの控除額
扶養控除の金額は、扶養親族の年齢や同居の有無によって異なります。
・一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満):38万円
・特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円
・老人扶養親族(70歳以上、同居老親等以外):48万円
・老人扶養親族(70歳以上、同居老親等):58万円
19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」に対する控除額が63万円と最も高いのは、大学在学中で経済的負担が重い年代を考慮した設計となっているためです。
令和7年度税制改正で変わった主なポイント

令和7年度の税制改正では、基礎控除の引き上げ・所得要件の見直し・特定親族特別控除の新設など、基礎控除・配偶者控除・扶養控除に関連する複数の見直しが行われました。主な変更点を整理しておきましょう。
基礎控除額の引き上げ
前述のとおり、基礎控除額が合計所得金額に応じて最大95万円まで引き上げられました。多くの給与所得者にとっては、従来の48万円から58万円への引き上げ(合計所得金額655万円超2,350万円以下の場合)が適用されます。
扶養親族等の所得要件引き上げ
配偶者控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件が48万円以下から58万円以下へ、扶養控除の対象となる扶養親族の合計所得金額要件も同様に48万円以下から58万円以下へ引き上げられました。これにより、給与収入ベースでは従来の103万円から123万円が新たなボーダーラインになっています。
特定親族特別控除の新設
19歳以上23歳未満の親族(特定扶養親族に相当する年齢層)について、合計所得金額が58万円を超えても123万円以下であれば、最高63万円の「特定親族特別控除」が新設されました。配偶者特別控除と同様に所得が増えるにつれて控除額が段階的に減少する仕組みで、大学生のアルバイト収入が増えた場合でも、扶養する側の控除が急に消滅しない設計になっています。
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
家族構成別の控除額シミュレーション

同じ年収でも家族構成によって適用される控除の合計額は変わるため、基礎控除・配偶者控除・扶養控除の組み合わせを具体例で確認しておくことが大切です。以下、納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合で整理してみましょう。
独身・扶養親族なしの場合
適用される人的控除は基礎控除のみです。合計所得金額655万円超2,350万円以下の場合、控除額は58万円となります。
配偶者あり(専業主婦・主夫)・子どもなしの場合
基礎控除58万円に加え、配偶者控除38万円が適用されるため、人的控除の合計は96万円です。配偶者が70歳以上の場合は老人控除対象配偶者として48万円が適用され、合計106万円になります。
配偶者あり・大学生の子ども1人の場合
基礎控除58万円+配偶者控除38万円+特定扶養親族の控除63万円で、人的控除の合計は159万円です。大学生の子どもは19歳以上23歳未満の特定扶養親族に該当するため、一般の扶養控除(38万円)より25万円多い63万円が適用されます。
配偶者あり・高校生の子ども1人+同居の親1人(75歳)の場合
基礎控除58万円+配偶者控除38万円+一般の控除対象扶養親族38万円+同居老親等58万円で、人的控除の合計は192万円となります。同居の老親がいる場合は控除額が手厚くなる仕組みです。
控除の適用漏れを防ぐために押さえておきたいポイント

人的控除は「適用要件を満たしているのに申告していない」ケースが少なくありません。基礎控除・配偶者控除・扶養控除の制度を理解していても、実際の申告場面では見落としが生じることがあります。以下のポイントを確認しておきましょう。
離れて暮らす親も扶養控除の対象になりうる
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を意味するわけではありません。仕送りをして生活費を負担している場合、別居の親や祖父母も扶養親族に該当する可能性があります。特に、年金収入が少ない高齢の親がいる場合は、扶養控除(老人扶養親族:48万円)を適用できるかどうかを確認してみましょう。
配偶者の収入が変動する年は注意が必要
パートやアルバイトで働く配偶者の年収が年によって変動する場合、配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わったり、いずれの控除も受けられなくなったりすることがあります。年末調整時に提出する「給与所得者の配偶者控除等申告書」では、配偶者の年間所得の見積額を正確に記入することが重要です。
年末調整で申告し忘れた控除は確定申告で取り戻せる
年末調整で扶養控除や配偶者控除の申告を忘れた場合でも、翌年に確定申告(還付申告)を行えば税金の還付を受けることが可能です。還付申告は該当する年の翌年1月1日から5年以内に行えるため、過去の申告漏れに気づいた場合も遡って対応できます。
まとめ
基礎控除・配偶者控除・扶養控除は、家族構成や所得状況に応じて税負担を調整するための重要な制度です。令和7年分からは基礎控除の引き上げや所得要件の見直しが行われ、適用される金額が変わっています。制度改正のタイミングでは、自分の家庭が控除の対象に該当するかどうかをあらためて確認しておくことが、払い過ぎの防止につながるでしょう。判断に迷う場合は、国税庁のタックスアンサーで最新の情報を確認するか、最寄りの税務署に相談してみることをおすすめします。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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