税金(一般的な内容)
固定資産税とは?税率・計算方法・軽減措置・都市計画税との違いをわかりやすく解説

固定資産税は、土地・家屋・償却資産の所有者に対して毎年課税される市町村税で、総務省によると標準税率は1.4%、令和5年度の税収は約9兆8,073億円と市町村税収の約41%を占める基幹税目です。毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、年の途中で不動産を売却しても、その年の納税義務は1月1日時点の所有者に残ります。住宅用地には課税標準を最大6分の1に軽減する特例が設けられており、新築住宅にも一定期間の減額措置がありますが、特例の適用条件や期限を正しく把握していないと想定以上の税負担が生じることもあるでしょう。この記事では、固定資産税の基本的な仕組みから計算方法、軽減措置、都市計画税との違いまで解説します。
固定資産税の基本的な仕組み

固定資産税は、固定資産の所有者がその資産価値に応じて市町村に納める地方税です。ここでは課税対象や納税義務者など、基本構造を確認しましょう。
課税対象は土地・家屋・償却資産の3種類
固定資産税の課税対象となる「固定資産」は、土地、家屋、償却資産の3種類に分かれています。
・土地:住宅地、田、畑、山林、雑種地など
・家屋:住宅、店舗、工場、倉庫などの建物
・償却資産:事業用の機械設備、器具備品、構築物など(土地・家屋以外で事業に使用できる資産)
注意が必要なのは、現在使用していない工場設備や遊休資産であっても、いつでも稼働できる状態であれば償却資産として課税対象になる点です。一方、自動車税の課税対象となる自動車は固定資産税の対象外となっています。
納税義務者は毎年1月1日時点の所有者
固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日(賦課期日)時点で固定資産を所有している個人または法人です。土地と家屋については登記簿上の所有者、償却資産については申告のあった所有者が課税対象となります。年の途中で不動産を売却しても、その年の固定資産税は1月1日時点の所有者が納めるため、不動産売買の際は売主・買主間で日割り精算を行うのが一般的です。
出典:総務省「固定資産税」
固定資産税の計算方法

固定資産税の計算は「固定資産の評価 → 課税標準額の決定 → 税額の算出」という3つのステップで行われます。
計算の基本式
固定資産税の計算式は以下のとおりです。
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(標準1.4%)
課税標準額は原則として固定資産税評価額(適正な時価)と同じですが、住宅用地の特例や負担調整措置が適用される場合は評価額よりも低くなることがあります。税率は標準税率が1.4%ですが、市町村は条例により異なる税率を定めることも可能です。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づいて各市町村が決定する価格です。土地は地目別に売買実例価格等をもとに評価され、宅地については地価公示価格の7割程度が目安になります。家屋は再建築価格に経年減点補正率を反映して算出されます。
土地と家屋の評価額は3年に1度の「評価替え」で見直されます。直近では令和6年度(2024年度)が評価替えの年度にあたり、次回は令和9年度(2027年度)に実施予定です。
計算例:評価額2,000万円の土地(住宅用地の特例なし)の場合
更地(住宅が建っていない土地)で固定資産税評価額が2,000万円の場合、以下のように計算されます。
・課税標準額:2,000万円(特例適用なし)
・固定資産税額:2,000万円 × 1.4% = 28万円
同じ土地に住宅が建っており、200㎡以下の小規模住宅用地に該当する場合は、課税標準額が6分の1に軽減されるため税額が大幅に変わります。この軽減措置については次の見出しで詳しく解説します。
住宅用地に対する課税標準の特例措置

住宅の敷地として使われている土地(住宅用地)には、固定資産税の課税標準額を大幅に引き下げる特例措置が設けられています。この特例には適用期限が設定されておらず、住宅が建っている限り継続して適用される点が特徴です。
小規模住宅用地と一般住宅用地の区分
住宅用地の特例は、面積に応じて2段階に分かれています。
・小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分):課税標準額が評価額の6分の1
・一般住宅用地(200㎡を超える部分):課税標準額が評価額の3分の1
たとえば、300㎡の敷地に一戸建てが建っている場合、200㎡までが小規模住宅用地、残り100㎡が一般住宅用地として扱われます。アパートやマンションなどの共同住宅では「住戸数 × 200㎡」までが小規模住宅用地の対象になるため、戸数の多い物件ほど特例の恩恵が大きくなる仕組みになっています。
特例適用時の計算例
固定資産税評価額2,000万円、面積200㎡の住宅用地(小規模住宅用地に該当)の場合で計算してみましょう。
・課税標準額:2,000万円 × 1/6 = 約333万円
・固定資産税額:約333万円 × 1.4% = 約4万7,000円
特例が適用されない更地の場合(28万円)と比較すると、約23万円もの差が生じます。この差額の大きさが、住宅を取り壊す際に「更地にすると固定資産税が上がる」と言われる理由です。
空き家と住宅用地特例の関係
近年の法改正で、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき市町村長から勧告を受けた「特定空家等」や「管理不全空家等」の敷地は、住宅用地の特例から除外されることになりました。放置された空き家を所有し続けると、特例が外れて固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があるため、適切な管理や活用の検討が求められます。
新築住宅に対する固定資産税の減額措置

新築住宅には、一定期間にわたって固定資産税額を2分の1に減額する措置が設けられています。この減額措置は住宅用地の特例(土地に対する軽減)とは別に、建物に対して適用されるものです。
減額措置の内容と適用期間
令和8年(2026年)3月31日までに新築された住宅で、床面積が50㎡以上280㎡以下(戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上280㎡以下)の要件を満たす場合に適用されます。なお、令和8年度税制改正大綱では5年間の延長が盛り込まれており、関連法案の成立を前提に令和13年(2031年)3月31日まで延長される見込みです。また、床面積要件も50㎡以上から40㎡以上に緩和される方向となっています。
・一般の住宅:新築後3年間、120㎡相当部分まで固定資産税額が2分の1に減額
・3階建以上の耐火・準耐火建築物:新築後5年間、120㎡相当部分まで2分の1に減額
さらに、認定長期優良住宅の場合は減額期間が延長され、一般住宅は5年間、耐火・準耐火建築物は7年間に拡充されます。
減額措置終了後の税額変動に注意
新築住宅の減額措置が終了すると、固定資産税額が一気に増加したように感じるケースが少なくありません。経年による評価額の減少があるため単純に2倍にはなりませんが、住宅ローンの返済計画を立てる際には、減額措置終了後の税負担増も織り込んでおくことが重要です。
免税点の仕組み

固定資産税には「免税点」と呼ばれる制度があり、同一市町村内で同一の所有者が持つ固定資産の課税標準額の合計が一定額未満の場合、固定資産税は課税されません。免税点の基準額は以下のとおりです。
・土地:30万円未満
・家屋:20万円未満
・償却資産:150万円未満
注意点として、免税点は資産の種類ごとに判定されます。同一市町村内に課税標準額20万円の土地と15万円の土地を所有している場合、合計35万円となり30万円以上のため両方とも課税対象になります。一方、20万円の土地と15万円の家屋であれば、土地・家屋それぞれが免税点未満のため、どちらも課税されません。
都市計画税との違い

固定資産税と合わせて課税されることが多い「都市計画税」は、固定資産税とは目的や課税対象が異なる別の税金です。両者の違いを理解しておきましょう。
都市計画税は目的税で市街化区域内のみ課税
固定資産税が使途の定められていない「普通税」であるのに対し、都市計画税は都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てる「目的税」として位置づけられています。
課税対象も異なり、都市計画税は原則として都市計画区域のうち「市街化区域内」に所在する土地と家屋のみが対象です。市街化調整区域や都市計画区域外の不動産には課税されません。また、償却資産は都市計画税の課税対象外となっています。
出典:総務省「都市計画税」
税率と住宅用地の軽減措置
都市計画税の税率は制限税率が0.3%で、この範囲内で各市町村が条例により定めています。固定資産税の標準税率1.4%と合わせると、市街化区域内の不動産には最大で評価額の1.7%が課税される計算です。
都市計画税にも住宅用地の軽減措置があり、小規模住宅用地は課税標準額が3分の1に、一般住宅用地は3分の2に軽減されます。固定資産税の軽減率(6分の1、3分の1)とは異なる点に注意が必要でしょう。
また、都市計画税には独自の免税点はありませんが、固定資産税が免税点未満の場合は都市計画税も課税されない仕組みになっています。
固定資産税の納付時期と方法

毎年4月〜6月頃に市町村から「納税通知書」が送付され、年4回に分けて納付するのが一般的です。通知書にあわせて届く「課税明細書」で、所有する土地・家屋の評価額や課税標準額を確認できます。納付方法は分割納付のほか、口座振替、コンビニ納付、クレジットカード払い、スマートフォン決済などの選択肢が一般的です。一括納付を選んでも割引が適用されるわけではないため、資金繰りの観点から分割納付を選ぶ方が多い傾向でしょう。
固定資産税を抑えるために知っておきたいポイント

固定資産税は毎年発生する維持コストのため、長期的な家計への影響は小さくありません。税負担を適正に管理するうえで、以下の点を押さえておきましょう。
住宅用地の特例が適用されているか確認する
住宅が建っている土地であっても、自治体側の登録漏れや用途変更の届出不備により、住宅用地の特例が適用されていないケースがまれに発生します。課税明細書の「課税標準額」が評価額の6分の1や3分の1になっているか確認してみましょう。評価額自体に疑問がある場合は、固定資産評価審査委員会への審査申出も可能です。
新築住宅の減額措置の終了時期を把握する
新築住宅の減額措置が切れるタイミングで、固定資産税が大幅に増える可能性があります。住宅を購入した時点で減額期間の終了年を確認し、終了後の税額を住宅ローンの返済計画に組み込んでおくことが大切です。
空き家の放置は税負担増のリスクがある
相続などで取得した空き家を適切に管理せず放置していると、特定空家等や管理不全空家等に認定され、住宅用地の特例が解除される恐れがあります。売却、賃貸活用、解体のいずれかを早めに検討しておくことが、将来の税負担増を防ぐ有効な手段です。
不動産購入前に固定資産税の見込み額を試算する
不動産を購入する際は、住宅ローンの返済額だけでなく固定資産税・都市計画税の年間負担額も含めた「住居費の総額」で資金計画を立てることが重要です。購入前に市町村の窓口や不動産業者を通じて、おおよその固定資産税額を試算しておくとよいでしょう。
まとめ
固定資産税は、土地・家屋・償却資産の所有者に毎年課税される市町村税で、標準税率は1.4%です。住宅用地には課税標準を最大6分の1に軽減する特例があり、新築住宅には一定期間の減額措置も設けられています。また、市街化区域内の不動産には都市計画税(制限税率0.3%)も合わせて課税されるため、不動産を取得する際は固定資産税と都市計画税の両方を考慮した資金計画を立てることが重要です。評価額に疑問がある場合は課税明細書を確認し、税額の適正さを定期的にチェックする習慣が、長期的な住居費の最適化につながります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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