医療保険
公的医療保険と民間医療保険の違いは?賢く備えるポイント

「民間保険って、公的医療保険とどう違うの?両方入る必要はある?」
病気やケガに備える医療保険には、国民全員が加入する「公的医療保険」と、任意で加入する「民間医療保険」の二本柱があります。公的医療保険は、私たちの医療費の負担を大きく軽減してくれる非常に心強い制度ですが、その保障には限界があります。
この記事では、公的医療保険と民間医療保険の違いを解説します。公的医療保険の仕組みと限界を明確にし、民間医療保険が果たす役割を掘り下げます。両方の仕組みを理解して、自分に必要な保障を考えるためのヒントを提案します。
公的医療保険の仕組みと限界

公的医療保険とは、誰もが加入する健康保険のことです。会社員や公務員は「健康保険」、自営業者などは「国民健康保険」に加入します。
公的医療保険の仕組み
自己負担割合:
医療機関でかかった医療費のうち、原則3割(年齢や所得によって1割〜3割)を自己負担します。
高額療養費制度:
・ひと月に支払った医療費の自己負担額が、一定の金額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
・例えば、ひと月の医療費が100万円かかっても、自己負担額が数十万円で済むなど、高額な医療費の負担を大きく軽減してくれます。
公的医療保険の限界
公的医療保険は非常に優れた制度ですが、以下の費用は対象外です。
差額ベッド代(個室代):
・入院中に個室や少人数の病室に入った場合の費用です。
・差額ベッド代は、全額自己負担となります。
先進医療の技術料:
・公的医療保険の対象外となる先進医療(厚生労働大臣が承認した高度な治療)にかかる技術料です。
・治療そのものの費用は高額ですが、全額自己負担となります。
入院中の食事代・雑費:
・入院中の食事代は、公的医療保険が大部分を負担しますが、2025年4月1日からは1食あたり510円の標準負担額が自己負担となります。
・パジャマや日用品などの雑費も自己負担です。
出典:全国健康保険協会 入院時生活療養費
民間医療保険の役割:公的医療保険でカバーできない部分の補完

民間医療保険は、この公的医療保険の限界を補い、万が一の事態に備えるのが主な役割です。
民間医療保険の主な保障内容
・入院給付金:
公的医療保険の自己負担分や、入院中の雑費などを補うために、入院日数に応じて支払われます。
・手術給付金:
手術を受けた場合に、まとまった金額が支払われます。
・先進医療特約:
公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料を補償します。
・差額ベッド代の補償:
差額ベッド代をカバーする特約を付加することで、個室を利用する際の費用に備えられます。
民間医療保険に加入するべき人
・貯蓄が十分でない人:
万が一の医療費を貯蓄で賄えない場合。
・高額な治療費に備えたい人:
先進医療など、高額な治療を受ける可能性に備えたい場合。
・入院中の収入減が心配な人:
病気やケガで働けない期間の収入減を、医療保険の給付金で補いたい場合。
・手厚い保障が欲しい人:
個室での入院や、最新の医療技術で治療を受けたい場合。
まとめ:両方の仕組みを理解して、自分に必要な保障を考える
公的医療保険と民間医療保険は、どちらか一方を選ぶものではありません。
・公的医療保険を土台に、民間医療保険でカバーできない部分を補う、という考え方が重要です。
・高額療養費制度があるからといって、差額ベッド代や先進医療費といった費用は全額自己負担となるため、民間医療保険で備えることを検討しましょう。
この記事を参考に、公的医療保険と民間医療保険の仕組みを理解し、あなたに最適な医療保険を選び、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。