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住民税とは?仕組み・税率・計算方法・納付時期をわかりやすく解説【2026年度版】

住民税は、都道府県と市区町村に納める地方税で、総務省によると所得に応じて課税される「所得割」(税率一律10%)と定額で課税される「均等割」(標準税額4,000円)の合計で構成されています。前年1月1日から12月31日までの所得をもとに翌年6月から課税されるため、所得税とは課税のタイミングが異なる点が特徴です。2025年度の税制改正では、住民税の給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられる一方、住民税の基礎控除は43万円に据え置かれるなど、所得税とは異なる改正内容となっています。この記事では、住民税の基本的な仕組みから計算方法、納付の流れ、非課税になる条件まで解説します。
住民税の基本的な仕組みと所得税との違い

住民税は「地域社会の会費」としての性格を持つ地方税で、所得税とは税率構造や控除額、課税タイミングが異なる点が特徴です。ここでは基本構造を確認しましょう。
住民税は都道府県民税と市区町村民税の合計
住民税は正式には「個人住民税」と呼ばれ、都道府県に納める「道府県民税(東京都は都民税)」と、市区町村に納める「市町村民税(東京23区は特別区民税)」の2種類で構成されています。納税の際は、市区町村が都道府県分と合わせて一括で徴収する仕組みになっているため、住民が2つの自治体に別々に納付する必要はありません。
所得税との主な違い
住民税と所得税はどちらも所得に対して課税される税金ですが、いくつかの重要な違いがあります。
まず、税率構造が異なります。所得税は所得が高いほど税率が上がる累進課税(5%〜45%の7段階)ですが、住民税の所得割は所得額にかかわらず一律10%の比例税率です。そのため、所得が低い方にとっては住民税の負担割合が相対的に高くなる傾向があります。
次に、課税のタイミングが異なります。所得税は原則としてその年の所得に対して課税される「現年課税」ですが、住民税は前年の所得に対して翌年度に課税される「前年課税」です。このため、退職や転職で収入が減った翌年にも、前年の所得に基づく住民税の支払いが発生する点は見落としがちなポイントでしょう。
また、控除額にも差があります。住民税は「地域社会の会費」的な性格から、基礎控除をはじめとする人的控除の金額が所得税よりも低く設定されています。たとえば、基礎控除は所得税が48万円(令和7年分は年収200万円以下の場合95万円に引上げ)であるのに対し、住民税は43万円のままです。
出典:総務省「個人住民税」
所得割の仕組みと税率

住民税の所得割は、前年の所得金額に応じて課税される部分で、税額の大部分を占めます。
所得割の標準税率は一律10%
総務省によると、所得割の標準税率は道府県民税4%+市町村民税6%の合計10%です。政令指定都市の場合は道府県民税2%+市民税8%の内訳になりますが、合計は同じく10%となります。
なお、住民税には全国で統一された標準税率がありますが、都道府県や市区町村は条例により独自の税率を設定できるため、自治体によって若干の差が生じることがあります。
所得割の計算の流れ
所得割額は以下の手順で算出する仕組みです。
・前年の収入金額から必要経費(給与所得者の場合は給与所得控除)を差し引いて所得金額を算出する
・所得金額から所得控除額を差し引いて課税所得金額を求める
・課税所得金額に税率10%を掛ける
・算出された税額から税額控除額(調整控除やふるさと納税の控除など)を差し引いて所得割額を確定する
ここまでの流れは所得税の計算とほぼ同じですが、各種控除の金額が所得税より低い点が住民税の特徴です。
均等割と森林環境税

均等割は所得の多寡にかかわらず一定額を負担する仕組みで、住民税の「地域社会の会費」としての性格を反映しています。
均等割の標準税額は年間4,000円
均等割の標準税額は道府県民税1,000円+市町村民税3,000円の合計4,000円です。なお、2014年度から2023年度までは東日本大震災復興の財源として各500円ずつ合計1,000円が上乗せされていましたが、2024年度で終了しました。
2024年度から森林環境税がスタート
復興増税の終了に合わせて、2024年度からは新たに森林環境税(国税)として年額1,000円が住民税の均等割と併せて徴収されています。森林環境税は、森林の整備や保全に必要な財源を確保するために創設された国税で、市区町村が徴収した後に国を通じて各自治体に配分される仕組みです。
したがって、2024年度以降に実際に支払う金額は均等割4,000円+森林環境税1,000円=年間5,000円が標準的な金額になっています。
出典:総務省「個人住民税」
住民税の計算例

住民税は市区町村が計算して通知するため、個人が自分で計算する必要は基本的にありませんが、概算の目安を把握しておくと家計管理に役立ちます。ここでは給与収入400万円(独身・扶養親族なし)の会社員を例に、住民税の概算額を確認しましょう。
計算の前提条件
・給与収入:400万円
・給与所得控除:124万円(収入金額×20%+44万円)
・給与所得:276万円
・所得控除:社会保険料控除56万円(年収の約14%として概算)+基礎控除43万円=99万円
住民税額の算出
・課税所得金額:276万円−99万円=177万円
・所得割額:177万円×10%=17万7,000円
・調整控除:−2,500円(基礎控除の所得税との差額5万円×5%)
・所得割額(調整控除後):約17万4,500円
・均等割+森林環境税:5,000円
・住民税の年額:約17万9,500円(月額約1万5,000円)
この金額は概算であり、実際の税額は適用される所得控除や自治体の税率によって変動します。ふるさと納税や住宅ローン控除などの税額控除がある場合は、所得割額からさらに差し引かれるため、税額はこれより低くなります。
住民税の所得控除は所得税より低い

住民税にも所得税と同じ体系の所得控除が設けられていますが、控除額は所得税よりも低く設定されている点に注意が必要です。
主な控除における住民税と所得税の差額を確認しましょう。
・基礎控除:所得税48万円に対し住民税43万円(差額5万円)
・配偶者控除(一般):所得税38万円に対し住民税33万円(差額5万円)
・扶養控除(一般):所得税38万円に対し住民税33万円(差額5万円)
・特定扶養控除:所得税63万円に対し住民税45万円(差額18万円)
・生命保険料控除(上限):所得税12万円に対し住民税7万円(差額5万円)
この「所得税と住民税の人的控除の差」を補う仕組みとして、「調整控除」という住民税独自の税額控除が設けられています。前述の計算例で差し引いた2,500円がこの調整控除に該当します。ただし、合計所得金額が2,500万円を超える場合は調整控除の適用がありません。
納付方法と納付時期

住民税の納付方法は、会社員と自営業者・フリーランスで異なります。
特別徴収(会社員・公務員の場合)
会社員や公務員は「特別徴収」と呼ばれる方法で、勤務先が毎月の給与から住民税を天引きし、自治体に納付します。特別徴収は毎年6月から翌年5月までの12回に分けて行われ、住民が自分で手続きする必要はありません。
毎年5〜6月頃に勤務先を通じて「住民税決定通知書」が届きます。この通知書には住民税額だけでなく、課税の内訳や各種控除額なども記載されているため、内容を確認しておくとよいでしょう。
普通徴収(自営業者・フリーランスの場合)
個人事業主やフリーランスは「普通徴収」として、自治体から届く納付書をもとに自分で納付します。納付は原則として年4回(6月・8月・10月・翌年1月)の分割納付ですが、一括で納付することも可能です。納付方法は金融機関や役場の窓口だけでなく、コンビニエンスストアやスマートフォンアプリ、クレジットカードなどにも対応する自治体が増えています。
なお、会社員に給与以外の所得(副業収入や不動産所得など)がある場合、確定申告時に「給与以外の所得に対する住民税は普通徴収にする」を選択することもできます。副業を勤務先に知られたくない場合に利用されることがありますが、自治体によっては対応が異なるため事前の確認が必要です。
年金からの特別徴収
65歳以上の公的年金受給者については、年金から住民税が天引きされる「公的年金からの特別徴収」の仕組みがあります。2009年10月に導入され、対象者は4月1日時点で65歳以上の方のうち住民税の納税義務がある年金受給者です。
出典:総務省「個人住民税」
住民税が非課税になる条件

一定の要件を満たす場合、住民税は課税されません。非課税には「所得割のみ非課税」と「所得割・均等割とも非課税」の2段階があります。
均等割・所得割ともに非課税になるケース
以下のいずれかに該当する場合、均等割も所得割もかかりません。
・その年の1月1日現在、生活保護法の規定により生活扶助を受けている方
・その年の1月1日現在、障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下の方
・前年の合計所得金額が、自治体が定める基準額以下の方
合計所得金額の基準は自治体の区分(級地制度)によって異なりますが、東京23区など1級地の場合、単身者は合計所得金額45万円以下(給与収入のみなら100万円以下、2026年度分からは110万円以下)が非課税の目安です。扶養親族がいる場合は「35万円×(本人+扶養親族等の人数)+31万円」以下が基準となります。
所得割のみ非課税になるケース
前年の総所得金額等が以下の金額以下の場合、所得割は非課税となります(均等割はかかります)。
・扶養親族がいない場合:45万円以下
・扶養親族がいる場合:35万円×(本人+扶養親族等の人数)+42万円以下
住民税非課税世帯に該当すると、国民健康保険料の軽減、高額療養費の自己負担限度額の引下げ、保育料の無償化対象の拡大など、さまざまな優遇措置の対象となるため、自身が該当するかどうかを確認しておく意義は大きいでしょう。
2025年度税制改正による住民税への影響

2025年度の税制改正では、いわゆる「103万円の壁」への対応として所得税・住民税の双方に改正が行われました。ただし、住民税への影響は所得税に比べて限定的です。
住民税で変わる点
・給与所得控除の最低保障額:55万円→65万円に引上げ(令和7年分所得から適用、令和8年度分の住民税に反映)
・特定親族特別控除の創設:19歳以上23歳未満の子等で給与収入123万円超188万円以下の場合、段階的に控除が適用される(令和8年度分から適用)
・扶養親族等の所得要件:合計所得金額48万円→58万円に引上げ
住民税で変わらない点
・基礎控除は43万円のまま据え置き(所得税は年収200万円以下の場合95万円に引上げ)
・所得割の税率10%に変更なし
・均等割の標準税額4,000円に変更なし
所得税の基礎控除が大幅に引き上げられた一方で、住民税の基礎控除は据え置かれています。これは住民税が「地域社会の会費」としての性格を持ち、広く住民に負担を求める税であることが理由です。そのため、所得税が非課税になる年収帯でも住民税は課税されるケースがある点は押さえておく必要があるでしょう。
出典:横浜市「令和7年度税制改正(いわゆる年収の壁への対応)のよくある質問」
住民税に関してよくある疑問

住民税は自治体が計算・通知するため、所得税に比べて仕組みを意識する機会が少ない税金です。ここでは実務的によくある疑問を整理します。
社会人1年目に住民税がかからないのはなぜか
住民税は前年の所得に基づいて翌年度に課税される仕組みのため、前年に学生で所得がなかった場合、社会人1年目は住民税が課税されません。社会人2年目の6月から住民税の支払いが始まるため、手取り額が減ることに戸惑うケースが見られます。逆に、退職した翌年も前年の所得に基づく住民税の支払いが続くため、資金計画には注意が必要です。
引っ越した場合はどこに納めるのか
住民税はその年の1月1日時点の住所地の自治体に納付します。たとえば、3月に別の市区町村に引っ越しても、その年度の住民税は引き続き1月1日時点に住んでいた自治体に納めることになります。
住民税の控除で手取りを増やすには
住民税の所得割は所得控除や税額控除によって軽減が可能です。特に効果が大きいのは、ふるさと納税(寄附金税額控除)と住宅ローン控除(所得税から控除しきれない分が住民税から控除)の2つでしょう。iDeCoの掛金も全額が所得控除の対象となり、住民税の所得割の軽減に直結します。これらの制度を組み合わせて活用することで、住民税の負担を抑えることが可能です。
まとめ
住民税は所得割(税率一律10%)と均等割(標準4,000円+森林環境税1,000円)の合計で構成され、前年の所得をもとに翌年6月から課税されます。所得税との主な違いは、税率が比例税率である点、各種控除額が低い点、そして前年課税である点の3つです。
2025年度の税制改正では給与所得控除の最低保障額が引き上げられる一方、基礎控除は据え置きとなり、所得税との差が拡大しています。住民税は自治体が計算してくれますが、ふるさと納税やiDeCo、住宅ローン控除などの控除制度を適切に活用するためにも、仕組みの基本を理解しておくことが家計管理の第一歩になるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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