就業不能保険
フリーランス必見!就業不能保険の税制優遇と控除・非課税のポイント

ここでは、就業不能保険と税制の関係や控除条件、節税シミュレーションまで詳しく解説します。
就業不能保険と税制の関係

就業不能保険は、病気やケガで一定期間働けない場合に、収入を補うための保険金が支給される保障商品です。フリーランスや個人事業主にとっては、仕事ができなくなった際の生活費や事業資金を確保する手段として有効です。税制面では、民間保険会社の就業不能保険は多くの場合「介護医療保険料控除」の対象となります(国税庁 No.1140)。
なお、一般的には生命保険会社の商品を「就業不能保険」、損害保険会社の商品を「所得補償保険」と呼びますが、税制上の扱いは同じです。
控除対象になる条件
介護医療保険料控除の対象となるのは、疾病や身体の障害により給付金が支払われる保険契約です。就業不能保険や所得補償保険もこの範囲に含まれます。所得税の控除限度額は40,000円、住民税の控除限度額は28,000円であり、それ以上の保険料を支払っても控除額は増えません。
控除の申請は、会社員の場合は年末調整、フリーランスの場合は確定申告で行います。
節税メリットと注意点
控除を受けることで、課税所得が減り、所得税と住民税の負担が軽減されます。ただし、
・控除額には上限がある
・全ての保険が自動的に対象になるわけではない
・節税効果は支払保険料全額ではなく、限度額に基づく
といった点には注意が必要です。
経費計上できるケースとできないケース
個人事業主が私的に加入した就業不能保険や所得補償保険の保険料は、生活保障が主目的であるため経費計上はできません。法人契約で役員や従業員を被保険者とした場合を除き、経費としては認められません。
節税シミュレーション
【モデルケース】
年所得:600万円
年間保険料:10万円(介護医療保険料控除対象)
控除限度額適用後の節税効果:
・所得税(20%):40,000円 × 20% = 8,000円
・住民税(10%):28,000円 × 10% = 2,800円
合計:約10,800円の節税効果
※控除限度額を超える保険料分は節税効果がありません。
受け取った保険金の税務上の扱い
就業不能保険や所得補償保険から受け取った保険金は、原則として所得税・住民税の課税対象外(非課税)です(所得税法第9条第1項第16号)。これは、生活保障を目的とした給付であるためです。
節税と保障のバランスを取る方法

就業不能保険を選ぶ際は、節税効果だけでなく、必要な保障額・免責期間・給付期間なども含めて総合的に判断することが重要です。過剰な保障は保険料負担を増やし、保障不足は万が一の時に生活を守れません。
まとめ
フリーランスにとって就業不能保険は、働けなくなった時の生活と事業を守る重要な備えです。税制上は「介護医療保険料控除」の対象となり、所得税40,000円・住民税28,000円までが上限です。控除条件と保障内容の両方を理解し、無理のない範囲で活用しましょう。さらに、受け取った保険金が原則非課税であることも覚えておくと安心です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。