iDeCo
シングルマザー・ファザーのiDeCo活用術:将来の生活基盤を築く

「もし自分に何かあったら、子どもに残してあげられるものって何だろう?」
「iDeCoって税金がお得らしいけど、シングルでも始めるメリットがあるの?」
シングルマザー・ファザーの方々は、一人で家計を支えながら子育てをするため、老後資金や万が一の備えについて、特に大きな不安を感じているかもしれません。毎日の生活と子どもの教育費で手一杯に感じることが多い中で、自分の老後まで考えるのは大変だと感じることもあるでしょう。
しかし、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、このようなシングルで子育てを頑張る方々にこそ、将来の生活基盤を築くための強力な味方となり得ます。税制優遇を受けながら、無理のない範囲で着実に老後資金を準備できるからです。
この記事では、単独の収入で老後資金を準備する重要性を強調し、国民年金(遺族年金)との連携やiDeCoでの補填について解説します。さらに、無理のない掛金設定と自動積立の活用まで、シングルマザー・ファザーならではのiDeCo活用術を提案します。
単独の収入で老後資金を準備する重要性

シングルマザー・ファザーの場合、世帯の収入源が単独であるため、将来の老後資金準備においては、より計画的かつ積極的に自助努力を行うことが重要になります。
公的年金だけでは生活費が不足するリスク
公的年金は老後の生活を支える大切な柱ですが、単独の収入で国民年金や厚生年金に加入している場合、夫婦二人世帯に比べて将来受け取れる年金額が少なくなる傾向があります。これにより、公的年金だけでは老後の生活費が不足するリスクが高まります。
頼れる人が限られる不安への備え
もし自分自身に何かあった場合、経済的に頼れる配偶者がいないため、子どもへの負担が大きくなる可能性があります。老後資金をしっかり準備しておくことは、将来の子どもへの経済的負担を軽減し、安心を与えることにもつながります。
iDeCoの税制メリットが直接家計を助ける
iDeCoの掛金は全額所得控除になるため、現役時代の所得税・住民税が軽減されます。これは、単独収入で家計を支える方にとって、毎年の手取りを増やすという直接的なメリットがあります。この浮いたお金をさらにiDeCoに回すことで、効率的に老後資金を積み上げることができます。
国民年金(遺族年金)との連携とiDeCoでの補填

シングルマザー・ファザーが老後資金を考える上で、公的年金制度、特に万が一の場合に備える「遺族年金」の仕組みを理解し、iDeCoで不足する部分を補うことが重要です。
公的年金(老齢年金)の把握
まず、ご自身が将来受け取れる国民年金や厚生年金の見込み額を「ねんきん定期便」などで確認しましょう。これにより、老後の生活費に対してどれくらいの不足が生じるかが見えてきます。
遺族年金制度の理解
万が一の事態に備え、遺族年金制度についても確認しましょう。遺族年金は、被保険者が亡くなった場合に、残された遺族(子、配偶者など)に支給される年金です。
・遺族基礎年金: 国民年金の被保険者が死亡した場合、子ども(18歳になる年度末まで、または障害状態の子)がいる配偶者や子どもに支給されます。
・遺族厚生年金: 厚生年金の被保険者が死亡した場合、遺族基礎年金に上乗せして支給されます。
・ポイント: 遺族年金は、残された子どもを育てる上で重要な収入源となりますが、その保障額は限定的であるため、これだけで十分な生活を送れるとは限りません。
iDeCoで公的年金の不足を補填する
遺族年金や老齢年金の見込み額を確認し、それでも不足する老後資金や、万が一の際の保障不足をiDeCoで補うことを検討しましょう。
・老後資金の上乗せ: iDeCoは、公的年金だけでは不足する老後資金を、税制優遇を受けながら着実に積み上げるための「私的年金」として活用できます。
・遺族への備え: もしiDeCoの加入者であるあなたが亡くなった場合、積立金は「死亡一時金」として遺族が受け取ることができます(受取人指定が必要)。これは、遺族年金だけでは不足するかもしれない子どもへの経済的な備えにもなります。
無理のない掛金設定と自動積立の活用

シングルマザー・ファザーの場合、家計の負担を増やさずにiDeCoを続けるために、無理のない掛金設定と「自動積立」の活用が非常に重要です。
無理のない掛金設定が最優先
iDeCoの掛金は、最低月額5,000円から始められます。無理をして家計を圧迫するような金額を設定すると、途中で継続が難しくなるリスクが高まります。
・家計の「見える化」: まずは毎月の収入と支出を正確に把握し、無理なく投資に回せる「余剰資金」を見つけましょう。
・少額からスタート: 最初は月5,000円など、無理のない金額からスタートし、iDeCoの仕組みや運用に慣れていきましょう。
・収入増加時の増額検討: 収入が増えたり、子どもの成長で教育費の負担が減ったりした際に、掛金の増額(年に1回変更可能)を検討しましょう。
「自動積立」を最大限に活用
・手間なく継続: 毎月決まった日に、指定した銀行口座から自動で掛金が引き落とされるように設定しましょう。一度設定すれば、あとは「ほったらかし」で運用が続くため、忙しいシングルマザー・ファザーの方でも手間がかかりません。
・ドルコスト平均法の恩恵: 毎月定額を積み立てることで、購入時期を分散し、高値掴みのリスクを抑える「ドルコスト平均法」の恩恵を自動的に受けられます。
・継続の力: 安定した掛金の継続は、iDeCoの税制メリットと複利効果を最大限に引き出すための最大の鍵です。
「生活防衛資金」の確保とNISAとの連携
iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、急な出費に備える「生活防衛資金」を必ず預貯金として確保しておきましょう。
・生活防衛資金: 最低でも生活費の3〜6ヶ月分、できれば1年分を目安に。
・NISAとの連携: iDeCoの掛金上限まで拠出した上で、さらに余裕があれば、いつでも引き出し可能なNISAの非課税枠も活用しましょう。NISAは教育資金など、老後以外の資金準備にも使えます。
まとめ:シングルマザー・ファザーこそiDeCoで将来の安心を
シングルマザー・ファザーの方々にとって、老後資金の準備は大きな課題ですが、iDeCoはそれを解決するための強力な味方となります。
・単独の収入だからこそ、iDeCoの所得控除による節税メリットは重要です。
・国民年金や遺族年金だけでは不足する老後資金や、万が一の際の備えをiDeCoで補填できます。
・月5,000円からの無理のない掛金設定と自動積立を活用し、着実に将来の生活基盤を築きましょう。
・iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、生活防衛資金の確保とNISAとのバランスも重要です。
今日からiDeCoを活用し、あなたの将来と子どもの未来のために、安心できる生活基盤を築いていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています