外貨建保険
【FP解説】外貨建て保険の解約タイミングと注意点|5年以内解約の税金にも注意

そこで今回は、外貨建て保険を解約するベストなタイミングや具体的な手続き、注意点をFPの視点からわかりやすく解説します。
外貨建て保険を解約するベストなタイミングとは?

外貨建て保険の解約を検討する際には、単に「お金が必要になったから」という理由だけではなく、為替相場や契約条件を踏まえた総合的な判断が重要です。特に以下の3つの観点を押さえておくことで、損失リスクを抑えることができます。
為替レートの動向
外貨建て保険は、米ドルや豪ドルなどの外貨で運用されているため、解約時の為替レートが解約返戻金に直結します。円安時に解約すれば円換算額が増え、円高時に解約すると受取額が減少する可能性があります。
たとえば1ドル=120円の時に解約する場合と、1ドル=105円の時に解約する場合では、同じ外貨建ての解約返戻金でも円換算で約14.3%の差が生じます。(計算式:(120−105)÷105×100=約14.3%)為替市場の動きは短期的に予測が難しいため、長期的な為替のトレンドや経済ニュースをチェックしながら解約時期を検討しましょう。
経過年数と解約返戻率の関係
多くの外貨建て保険では、契約初期は保険会社の諸費用(販売手数料や事務手数料)が多く差し引かれるため、解約返戻率が低くなります。
契約から一定期間(目安として10年以上)経過すると返戻率が上がり、元本を上回るケースもあります。もっとも、この「10年以上」というのはあくまで一般的な目安であり、商品や契約条件によってピーク時期は異なります。特に短期払い・一時払い契約では返戻率のピークが異なるため、解約前に設計書や契約概要で必ずシミュレーションを確認しましょう。
契約時に設定した目標
教育資金や老後資金など、契約時に明確な目的があった場合は、その目標達成に必要な時期や金額と照らし合わせて判断することが大切です。予定していた目的を果たす前に為替の変動や一時的な資金需要で解約すると、将来のライフプランに影響することがあります。
解約手続きの具体的な流れ

解約を決めたら、必要書類や連絡先を事前に確認しておくとスムーズです。以下は一般的な手続きの流れです。
必要書類と連絡先
契約者本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)、保険証券、解約請求書などが必要です。解約請求書は保険会社から郵送してもらうか、公式サイトからダウンロードできる場合もあります。連絡は契約した保険会社や担当者に直接行い、解約に伴う為替レートや手数料も必ず確認しましょう。
解約返戻金の受け取りまでの期間
解約請求書の提出から返戻金が振り込まれるまで、一般的には1〜3週間程度かかります。外貨で受け取る場合と円に換算して受け取る場合で日数や為替適用日が異なることもあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
解約する際の注意点

元本割れのリスク
契約初期に解約すると、返戻金が払込保険料を下回る「元本割れ」が発生しやすくなります。特に外貨建ての場合、為替の影響でさらに元本割れが拡大することがあります。
為替手数料の確認
円と外貨の交換には為替手数料がかかります。たとえば1米ドルあたり50銭の手数料が設定されている場合、受け取る金額に影響するため、解約前に必ず確認しましょう。
税金への影響
解約返戻金が払込保険料を上回った場合、その差額は一時所得として課税対象となります。一時所得は50万円の特別控除があり、課税対象は(利益−50万円)×1/2で計算されます。所得税と住民税の合計で数%〜20%程度の税負担になることがあるため、事前に試算しておくことが望ましいです。
なお、一時払いの外貨建て保険や変額保険を契約から5年以内に解約した場合は、所得税の一時所得ではなく「金融類似商品」として扱われ、利益部分に対して20.315%の源泉分離課税(所得税・復興特別所得税・住民税)が適用される場合があります。この場合は確定申告不要ですが、他の所得との損益通算はできません。詳しくは契約書や保険会社の案内で必ず確認してください。
まとめ:解約前に必ず確認すべきチェックリスト
外貨建て保険の解約は、為替レート・経過年数・契約目的・税金の4つを軸に判断することが重要です。解約前に以下を確認しましょう。
・為替レートが有利なタイミングか
・契約年数と解約返戻率の関係を把握しているか
・契約時の目的を再確認したか
・税金や手数料の負担を試算したか
これらを踏まえ、必要に応じてファイナンシャルプランナーや税理士に相談することで、後悔のない判断ができます。
参考サイト:国税庁|一時所得の課税関係
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。