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【国税庁調査】2024年民間平均給与は過去最高478万円!賃上げの実態と格差の現状を徹底解説

2024年平均給与の概要:過去最高更新の背景と賞与の回復
平均給与478万円:33年ぶりの高い伸び率
2024年の民間企業における平均給与は478万円となり、前年から3.9%増加しました。この伸び率は1991年分以来、33年ぶりの高い水準です。主な要因としては、人手不足を背景とした賃金見直し(春闘)や最低賃金の大幅な引き上げが挙げられます。
賞与も増加し、過去10年で最高に
給与のうち、平均賞与(ボーナス)は2年ぶりに増加に転じ、前年比4.5%増の75万円となりました。これは過去10年間で最も高い水準です。
所得税収は減少:定額減税の影響
一方で、源泉徴収された所得税額は前年より8,227億円(6.9%)減少し、11兆1,834億円となりました。これは2024年に実施された定額減税の影響によるものとみられています。
給与格差の実態:男女・雇用形態・業種間の大きな開き
平均給与が過去最高を更新した一方で、統計からは依然として大きな格差が存在することが浮き彫りになっています。
男女間の格差:女性の伸び率は高いが水準は低い
男女別の平均給与は以下の通りです。
・男性の平均給与:587万円(前年比3.2%増)
・女性の平均給与:333万円(前年比5.5%増)
女性の伸び率(5.5%増)は男性(3.2%増)を上回り、男女格差がやや縮まる傾向が見られますが、男性の平均給与に対し女性は約57%の水準にとどまっており、格差は依然として大きいと言えます。
正社員と非正規社員の格差:約2.6倍の開き
雇用形態別でも大きな格差があります。
・正社員の平均給与:545万円
・正社員以外の平均給与:206万円
正社員と正社員以外(パート・アルバイト等)の平均給与には約2.6倍の開きがあり、特に女性の非正規比率が高いことから、この「正規・非正規格差」は「男女格差」の背景の一つともなっています。
業種別の格差:宿泊・飲食サービス業は低水準
業種別では、給与水準に大きな差が見られます。
・最も高い業種:電気・ガス・熱供給・水道(832万円)
・次いで高い業種:金融・保険(702万円)、情報通信(660万円)
・最も低い業種:宿泊・飲食サービス(279万円)
人手不足が深刻な「宿泊・飲食サービス」の給与水準が最も低い状況は、労働市場における構造的な課題を示唆しています。
まとめ:給与上昇の裏にある「実質賃金」と「構造問題」
2024年の平均給与は過去最高を記録しましたが、物価高騰(消費者物価指数は年2〜3%上昇)を考慮した実質賃金の伸びは限定的であり、生活実感への影響は読み取りにくい状況です。また、依然として残る男女・雇用形態・業種間の格差は、今後の労働市場や財政運営における重要な課題であり続けるでしょう。
平均給与の上昇はポジティブなニュースですが、ご自身の給与水準や雇用形態、業種間の格差を踏まえ、今後のキャリアプランや資産形成を考えることが重要です。
出典:国税庁長官官房企画課 令和6年分 民間給与実態統計調査
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。