生命保険
「てんかん」と「死亡保険」:持病があっても、無職でも加入できる?

てんかんの持病があり、現在無職の方が、万が一の際に備えて死亡保険への加入を検討されるケースは少なくありません。持病があること、そして無職であること、これら二つの状況が保険加入のハードルとなるのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。果たして、持病があり無職の状況でも死亡保障のある保険は存在するのでしょうか?このブログ記事では、てんかんをお持ちの方や、無職の状態にある方が死亡保険を選ぶ際のポイントについて解説します。
てんかんという病気の理解

「てんかん」は、脳の神経細胞の異常な電気活動によって繰り返し発作が起きる病気です。発作の症状は多岐にわたり、意識を失ったり、体がけいれんしたりすることがあります。てんかんは、原因が特定できない「特発性てんかん」と、頭部外傷や脳卒中などが原因の「症候性てんかん」に分けられます。
適切な治療や服薬によって発作を抑え、通常の社会生活を送っている方が多くいらっしゃいます。しかし、薬で発作が抑制されない「難治性てんかん」の方もおり、場合によっては外科手術が検討されることもあります。
より詳しくてんかんについて知りたい方は、てんかん情報センターなどの情報もご参照ください。
てんかんがあっても保険に入れる可能性

てんかんの診断を受けて治療中、または寛解(症状が落ち着いて安定した状態)にある場合、通常の医療保険や死亡保険への加入は難しいのが現状です。一般的には、「完治してから5年以上経過していること」などの条件が付くことが多いです。
しかし、諦める必要はありません。てんかんなどの持病や既往症がある方でも加入しやすい「引受基準緩和型(ひきうけきじゅんかんわがた)」の医療保険や終身保険が存在します。これらの保険は、通常の保険よりも引き受けの基準が緩和されており、「3ヶ月以内に入院・手術を勧められていないか」「過去1年(または2年)以内に入院・手術をしていないか」「過去5年以内に特定のがんや肝臓の病気を診断されていないか」といった、3〜5つの簡単な告知項目をクリアできれば申し込むことが可能です。
引受基準緩和型保険は、通常の保険と比較して加入しやすいという大きなメリットがあります。一方で、通常の保険商品よりも保険料が割増しされているというデメリットも存在します。保険会社によって告知項目が異なるため、複数の保険会社の商品を比較検討し、ご自身の状況に合った緩和型保険を探すことがポイントとなります。
無職でも死亡保険に加入できる条件

「無職だと保険に加入できないのでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。無職の状態であっても、死亡保険に加入できる可能性はあります。
保険会社が加入審査で重視するのは、「保険料を継続して支払えるかどうか」という点です。例えば、無職になりたてで失業手当が出ている期間中であり、その期間中に転職を目指しているため保険料の支払いが可能であるという方は、加入できる保険会社が見つかる可能性があります。
多くの保険会社では無職の場合の引き受けが難しいこともありますが、特定の保険会社に絞って検討したり、複数の保険代理店に相談したりすることで、加入への道が開けることがあります。持病と無職という状況が重なっていても、諦めずに情報収集と相談を続けることが重要です。
てんかんの治療にかかる費用と公的支援

てんかんの治療は、多くの場合、抗てんかん薬による薬物療法が中心となり、年単位の長期にわたることが特徴です。診察料や薬剤費は比較的抑えられますが、初診時や定期的な検査(脳波、MRIなど)には費用がかかります。特にMRI検査は比較的高額です。
薬物療法で発作が抑制できない難治性てんかんの場合、外科治療が検討されることもあります。外科治療にかかる総費用は高額になる傾向があります。
しかし、てんかんの治療費には、以下のような公的な支援制度が充実しています。
・自立支援医療:てんかんを含む精神疾患の治療費の自己負担割合が1割に軽減される制度(通院が対象)。詳細については、お住まいの地域の自治体窓口や厚生労働省のウェブサイトをご確認ください。
・高額療養費制度:1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度。詳しくは金融広報中央委員会(知るぽると)などをご参照ください。
・重度心身障害者(児)医療費助成制度:心身に重度の障害がある方の医療費負担を軽減する制度。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。
・傷病手当金:病気やケガで会社を4日以上休み、十分な報酬が受けられない場合に給与の一部が支給される制度(会社員や公務員の場合)。詳細については、ご加入の健康保険組合や全国健康保険協会のウェブサイトなどをご確認ください。
・医療費控除:1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、超過分を所得から控除できる制度。詳しくは国税庁のウェブサイトをご参照ください。
これらの制度を上手に活用することで、医療費の自己負担を軽減できます。また、万が一の際には、遺族年金などの公的制度も活用できます。
まとめ:専門家への相談で最適な保険選びを
てんかんの持病があり、かつ無職という状況での死亡保険加入は、複雑に感じられるかもしれません。しかし、「引受基準緩和型」の保険や、無職でも加入できる可能性のある保険会社があることを知れば、選択肢は広がります。公的な支援制度も活用しつつ、不足する部分を保険で補うという考え方は非常に合理的です。
ご自身の病状や経済状況は一人ひとり異なります。どの保険が最適なのか、公的制度と合わせてどのように備えるべきかなど、迷う点も多いでしょう。そのような時は、ぜひ保険の専門家(ファイナンシャルプランナーなど)に相談してみてください。彼らは様々な保険商品の情報や加入条件を熟知しており、あなたの個別の状況に合わせて、最適なプランを提案してくれます。
専門家への相談を通じて、ご自身とご家族の安心のために、適切な保険選びを進めてみてはいかがでしょうか?