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NISAの金融機関変更はできる?変更手続きのステップと注意点

NISA口座は一人につき一つしか開設できないため、一度口座を開設すると、その金融機関でNISAの運用を続けるのが基本です。しかし、後になって「やっぱり別の金融機関にしたい」と考える方もいるでしょう。
ご安心ください。NISAの金融機関変更は可能です。
この記事では、NISA口座を開設している金融機関を変更したいと考えている方のために、変更の可否、手続きが可能な時期、具体的な変更手続きのステップ、そして変更に伴う重要な注意点までを詳しく解説します。旧NISAからの移管の考え方も含め、スムーズな金融機関変更をサポートします。
NISA口座の金融機関変更は「可能」!ただし条件がある

NISA口座は、一度開設した金融機関から別の金融機関へ変更することが可能です。
しかし、無条件にいつでもできるわけではありません。変更には、主に以下の2つの条件があります。
1.変更が可能な時期: NISA口座の金融機関変更は、原則として「年に一度だけ」可能です。
・年内にNISA口座で一度も買付をしていない場合: 比較的手続きがスムーズに進みます。年内の買付前に変更手続きを完了させれば、その年に新しい金融機関でNISA口座を利用できます。
・年内にNISA口座で既に買付を行っている場合: その年に購入したNISA商品がある場合、その年のNISA口座は変更できません。翌年以降に、新しい金融機関でNISA口座を開設し直す形になります。この場合、現在の金融機関のNISA口座は「廃止」ではなく、「勘定廃止通知書」を発行してもらい、新しい金融機関に提出します。
2.旧NISAからの商品の移管について: 旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で保有している商品は、金融機関を変更しても、新しい金融機関のNISA口座へ移管(ロールオーバー)することはできません。旧NISAで保有している商品は、あくまで元の金融機関のNISA口座で非課税期間が終了するまで運用され、その後は課税口座(特定口座など)へ自動的に移管されます。
NISA金融機関変更の具体的なステップ

NISA口座の金融機関変更は、主に以下のステップで進めます。
ステップ1:現在のNISA口座がある金融機関に連絡
まずは、現在NISA口座を開設している金融機関に連絡し、「NISA口座の金融機関を変更したい」旨を伝えます。
・必要な書類は金融機関によって異なりますが、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」の発行を依頼するのが一般的です。
・この際、年内に既にNISA口座で買付をしているかどうかを伝える必要があります。買付済みの場合は、その年は変更できない旨の説明があるでしょう。
ステップ2:新しいNISA口座を開設したい金融機関に申し込む
次に、変更先の金融機関(新しくNISA口座を開設したい金融機関)にNISA口座開設を申し込みます。
・ウェブサイトからのオンライン申し込みが一般的です。
・申し込みの際に、「他社からNISA口座を移管する(金融機関を変更する)」旨を伝えます。
・ステップ1で取得した「勘定廃止通知書」などの提出を求められますので、指示に従って郵送またはアップロードします。
ステップ3:税務署の審査と口座開設完了
新しい金融機関が、あなたの情報と提出された書類を基に、税務署にNISA口座開設を申請します。
・税務署での審査により、NISA口座が重複していないかなどが確認されます。この審査には、通常数週間程度の時間がかかります。
・審査に通れば、新しい金融機関からNISA口座開設完了の通知が届き、その金融機関でNISA取引ができるようになります。
NISA金融機関変更に伴う重要な注意点

金融機関の変更は可能ですが、いくつかの注意点があります。これらを理解せずに行うと、後悔につながる可能性もあります。
1.年内に一度でも買付するとその年の変更は不可: これが最も重要な注意点です。たとえ少額でも、その年のNISA口座で一度でも投資商品を購入してしまうと、その年は別の金融機関でNISA口座を開設することはできません。変更したい場合は、翌年まで待つ必要があります。
2.旧NISAの商品の移管はできない: 先述の通り、旧NISAで保有している商品は、金融機関を変更しても新しいNISA口座へ移すことはできません。旧NISAの商品はそのままで、新NISAの口座のみが新しい金融機関で使えるようになる、と理解しておきましょう。
3.手続きに時間がかかる: 書類のやり取りや税務署の審査があるため、口座開設完了までには数週間、場合によっては1ヶ月以上かかることもあります。変更を希望する場合は、余裕を持って早めに手続きを開始しましょう。
4.変更先の金融機関のNISA制度の確認: 変更先の金融機関が、あなたの希望する投資信託や株式を取り扱っているか、手数料体系はどうか、サポート体制は充実しているかなど、改めて確認することが大切です。
5.現在の金融機関のNISA口座は「廃止」ではない: 金融機関を変更する際、現在の金融機関のNISA口座は「廃止」ではなく、あくまで「今年のNISA枠を使わないための手続き」として「勘定廃止通知書」を発行してもらう形になります。旧NISAの非課税期間が残っている商品は、そのまま元の金融機関の口座で運用が継続されます。
まとめ:計画的に、そして注意点を理解して賢く金融機関を変更しよう
NISA口座の金融機関変更は可能であり、より良いサービスや商品ラインナップを求めて行うことは賢明な選択です。
しかし、「年内に一度でも買付するとその年の変更は不可」というルールや、「旧NISA商品の移管はできない」といった注意点をしっかり理解しておくことが、後悔しないための鍵となります。
このガイドを参考に、計画的に金融機関の変更手続きを進め、あなたの資産形成に最適なNISA口座を見つけてください。