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iDeCoの運用商品選び完全ガイド:初心者におすすめの投資信託は?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金の所得控除など強力な税制メリットがある一方で、自分で運用商品を選ぶ必要があります。その選択が、将来の老後資金に大きな影響を与えるため、初心者の方にとっては悩みの種になるかもしれません。
この記事では、iDeCoで選べる運用商品の種類と特徴を解説し、初心者の方におすすめの投資信託の選び方を徹底ガイドします。信託報酬の重要性、おすすめの資産配分(ポートフォリオ)例、そして金融機関ごとの商品ラインナップの比較ポイントまで。あなたのiDeCo運用を成功に導くためのヒントを提供します。
iDeCoで選べる運用商品は2種類!

iDeCoで選べる運用商品は、大きく分けて「元本確保型」と「元本変動型(投資信託)」の2種類があります。
元本確保型商品:リスクを抑えたい方向け
元本確保型商品とは、預貯金や保険のように、原則として元本が保証されている商品です。大きなリターンは期待できませんが、元本割れのリスクを極力避けたい場合に選択されます。
【主な種類】
・定期預金: 期間に応じて金利が決まり、満期まで保有すれば元本と利息が保証されます。
・保険: 変額保険とは異なり、積立中に元本が保証されるタイプや、将来の年金額が確定しているタイプなどがあります。
メリット: 元本が保証されているため、評価額が減る心配がありません。
デメリット: 期待できるリターンが非常に低いため、iDeCoの税制メリットを最大限に活かしきれない可能性があります。インフレ(物価上昇)が進むと、実質的な資産価値が目減りするリスクもあります。
元本変動型商品(投資信託):積極的なリターンを狙う
元本変動型商品とは、投資信託のことです。元本は保証されず、運用成果によって増えたり減ったりします。しかし、長期的に大きなリターンを狙える可能性があります。
【主な種類】
・株式型投資信託: 国内外の株式に投資します。高いリターンが期待できる反面、価格変動リスクも大きいです。
・債券型投資信託: 国内外の債券に投資します。株式型よりリスクは低い傾向にありますが、リターンも穏やかです。
・バランス型投資信託: 株式と債券など複数の資産を組み合わせて投資します。リスクとリターンのバランスが取れており、自動でリバランスしてくれる商品もあります。
メリット:
・高いリターンを狙える: 特に株式型投資信託は、長期的に見れば高いリターンが期待できます。
・分散投資が可能: 1つの投資信託で、多くの銘柄や地域に分散投資ができます。
・専門家が運用: 自分で銘柄を選ぶ手間がかかりません。
デメリット: 元本が保証されないため、元本割れのリスクがあります。
初心者におすすめの運用商品選び:投資信託が基本!

iDeCoの最大の魅力である「税制メリット」(掛金の全額控除、運用益非課税、受け取り時控除)を最大限に活かすためには、「元本変動型」の投資信託での運用が基本となります。
なぜなら、元本確保型では得られる利益が少なすぎて、せっかくの「運用益非課税」メリットを十分に享受できないからです。また、iDeCoは原則60歳まで引き出せない長期の運用なので、一時的な価格変動を乗り越えて、着実に資産を増やすチャンスがあるからです。
初心者の方におすすめの投資信託選びのポイントは以下の3つです。
信託報酬(運用コスト)が低いものを選ぶ
投資信託を保有している間、日々かかる費用が信託報酬です。これは運用成績から自動的に差し引かれるため、見落としがちですが、長期運用ではその差が非常に大きくなります。
・確認ポイント: 同様の投資対象のファンドと比較して、信託報酬が低い(0.1%〜0.5%程度)ものを選びましょう。iDeCoでは、その他に月々の手数料(加入時、運営管理機関、信託報酬など)もかかりますが、信託報酬は運用期間中ずっとかかる費用なので、最も重視すべきポイントです。
特定の指数に連動する「インデックスファンド」を選ぶ
インデックスファンドは、特定の株価指数(S&P500、全世界株式など)に連動した運用成果を目指す投資信託です。
・なぜおすすめ?:
低コスト: 専門家が個別銘柄を選ぶ手間がかからないため、信託報酬がアクティブファンドよりも安いです。
分散効果が高い: 指数に組み入れられている多くの銘柄に自動で分散投資されます。
市場の成長を取り込める: 長期的に見れば、市場全体は成長する傾向があるため、その恩恵を享受できます。
・具体例:
全世界株式インデックスファンド: 日本を含む先進国から新興国まで、世界中の株式に幅広く分散投資します。これ1本で地域分散が完結するため、迷ったらこのタイプがおすすめです。
S&P500インデックスファンド: 米国株式市場の主要500社に投資します。過去の高い成長実績に魅力を感じる方におすすめですが、米国に集中するリスクは理解しておきましょう。
「バランス型投資信託」も検討する
自分で複数の資産(株式、債券など)を組み合わせるのが難しいと感じる場合は、バランス型投資信託も有効な選択肢です。
・メリット: 1つのファンドで複数の資産クラスに分散投資できるため、手間がかかりません。定期的に資産配分を調整する「リバランス」をファンドが自動で行ってくれるものもあります。
・注意点: 株式比率が低いと期待リターンも穏やかになるため、目標とする老後資金の金額と照らし合わせて、適切なバランスのファンドを選びましょう。
iDeCoポートフォリオの基本的な考え方と資産配分例

iDeCoの運用商品は、長期で変更しないことが基本ですが、自身の「リスク許容度」に合わせて資産を配分することが重要です。
リスク許容度別の資産配分例
あくまで一例であり、ご自身の状況に合わせて調整が必要です。
・ローリスク志向(元本割れを極力避けたい):
元本確保型: 30%〜50%
バランス型投資信託: 50%〜70%(債券比率が高いもの)
考え方: 元本確保型と組み合わせることで、大きく減るリスクを抑えつつ、iDeCoの運用益非課税のメリットを享受します。
・ミドルリスク志向(バランス重視):
全世界株式またはS&P500インデックスファンド: 60%〜80%
国内債券型投資信託またはバランス型投資信託(株式比率が高いもの): 20%〜40%
考え方: 株式を中心に置き、世界経済の成長を取り込みつつ、債券でリスクを調整します。多くの人に当てはまるでしょう。
・ハイリスク志向(積極的なリターン追求):
全世界株式またはS&P500インデックスファンド: 90%〜100%
考え方: リスクは高いですが、長期運用で最大のキャピタルゲインを狙う戦略です。一時的な価格下落にも動じない強い精神力と、十分な運用期間が必要です。
iDeCoの運用商品選び:金融機関ごとの比較ポイント

iDeCo口座を開設する金融機関によって、選べる運用商品のラインナップや手数料が異なります。
1.口座管理手数料: 無料の金融機関を選ぶのが基本です。長期で運用するため、わずかな手数料の差でも最終的な資産額に大きな影響を与えます。
2.運用商品の品揃え:
・低コストのインデックスファンドが豊富か: 特に、前述の全世界株式やS&P500連動型など、人気で低コストなファンドが揃っているか確認しましょう。
・元本確保型が必要なら、金利が良いか: 元本確保型を組み入れたい場合は、提供される定期預金などの金利もチェックします。
3.情報提供・サポート体制: 運用商品選びに迷った時に、分かりやすい情報提供やコールセンターなどのサポートが充実しているかも確認しておくと安心です。
まとめ:iDeCoの運用商品は「長期・低コスト・分散」で賢く選ぶ
iDeCoの運用商品選びは、老後資金準備の成否を分ける重要なステップです。初心者の方には、まず「元本変動型(投資信託)」を選び、特に「信託報酬の低いインデックスファンド」を中心に据えることをおすすめします。
・長期運用: 原則60歳まで引き出せないことを逆手にとって、複利効果を最大限に活かしましょう。
・低コスト: 手数料はリターンを確実に削るため、徹底的に抑えましょう。
・分散投資: 全世界株式など、幅広い資産に分散された商品でリスクを管理しましょう。
あなたのリスク許容度に合わせた最適なポートフォリオを構築し、今日からiDeCoで賢く老後資金を増やしていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。