生命保険
高度異形成と診断された方へ:円錐切除術後の保険加入と「完治」の考え方

この記事では、高度異形成の治療後の「完治」の考え方、医療保険加入時の告知のポイント、そしてもしもの場合に備える保険選びについて詳しく解説します。
高度異形成とは?子宮頸がんとの関係性

子宮頸部の細胞に異常が見られる状態を子宮頸部異形成といい、これは子宮頸がんの前段階(前がん病変)であり、異形成はその程度により軽度異形成、中等度異形成、高度異形成の3種類に分類されます。
高度異形成は、まだ「がん」ではありませんが、放置すると数年から数十年かけて子宮頸がん(浸潤がん)へと進行する可能性があるため、治療が推奨されます。
円錐切除術後の「完治」とは?

高度異形成の主な治療法の一つに円錐切除術があります。これは、子宮頸部の異常な部分を円錐状に切除する手術で、高確率で病変を取り除くことができます。
「完治」の定義は、病状や医療機関、医師の判断によって異なりますが、一般的には以下の点が挙げられます。
・病理検査での「がん化なし」の確認: 円錐切除術で切除した組織を病理検査し、がん化した部分が見つからず、病変が完全に切除されていると判断された場合です。
・その後の定期検査での「異常なし」の継続: 手術後の一定期間(例:手術数ヵ月後から半年ごと、その後は年に1回など)の定期的な子宮頸がん検診で、異常が認められない状態が続くことが「完治」とみなされることが多いです。
ご質問者のケースのように、5年前に円錐切除術を行い、がん化した部分もなく、その後の検査でも問題がない状態であれば、手術の時点で病変が取り除かれ、その後の経過観察で異常がないため「完治」と判断される可能性が高いと考えられます。現在受けている定期検査は、再発やがん罹患への備えとしての経過観察と言えるでしょう。
医療保険加入時の告知:5年以内の検査は告知対象?

医療保険やがん保険に加入する際には、現在の健康状態や過去の病歴などを保険会社に伝える告知義務があります。告知の対象期間は保険商品によって異なりますが、一般的には直近3ヵ月以内や過去5年以内の健康状態が問われます。
多くの場合、告知書には以下のような質問項目があります。
・「過去3ヵ月以内に、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたか」
・「過去5年以内に、病気やケガで7日以上の入院や手術を受けたか」
このようなケースでは、5年前に円錐切除術を受け、その後の定期的な子宮頸がん検診を受けているため、5年以内に検査を行っていることになり、告知が必要です。
高度異形成の告知における注意点
高度異形成や子宮頸部異形成は、保険会社によってその捉え方が大きく異なります。
・告知の必要性: 円錐切除術が告知日より5年以内であれば、手術の事実と、その後の定期検査の状況を正確に告知する必要があります。
・引受基準: 手術内容によっては、がん保障や三大疾病保障、女性疾病保障に加入できないケースや、特定部位不担保(子宮部位に対する保障が一定期間適用されない)などの条件付きでの加入となるケースがあります。
・「がん」の定義: がん保険において、高度異形成は「がん」そのものではありませんが、上皮内新生物と同等に扱われることがあります。上皮内新生物は「ステージ0」のがんで、悪性のがんとは異なり、手術で完治するとされています。保険商品によっては、上皮内新生物も保障の対象となるため、診断された場合は加入できない、あるいは給付金が減額されるなどの規定がある場合があります。
告知で求められたことを隠したり、虚偽の告知をした場合、万が一の際に保険契約が解除される可能性もあるため、必ず正確に告知しましょう。
円錐切除術後に加入できる保険の種類

円錐切除術を受けた後でも、加入を検討できる保険はあります。
1. 引受基準緩和型保険
告知義務が緩やかなタイプの保険で、持病や過去の病歴があっても加入しやすいのが特徴です。ただし、一般の保険に比べて保険料が割高になる傾向があり、加入後一定期間は保険金(給付金)の支払いが削減される削減期間が設けられている場合もあります。
引受基準緩和型保険の解説記事も参考にしてください。
2. 無選択型保険
告知なしで加入できる保険です。引受基準緩和型保険でも加入が難しい場合に検討されます。しかし、保険料はさらに割高で、加入前の病気や既往症の再発・悪化は保障対象外となることが多いです。また、保障開始から最初の90日間は保障対象外となる不担保期間がある商品もあります。
3. がん保険(上皮内新生物への備えが手厚い商品)
がん保険を検討する場合、上皮内新生物(高度異形成を含む)への保障が手厚い商品を選ぶことが重要です。以下の点を確認しましょう。
・高度異形成を「上皮内新生物」と同様とみなすか: 保険会社の約款で、高度異形成が上皮内新生物として保障対象になるかを確認しましょう。
・「上皮内新生物」が給付の対象になるか: 「悪性新生物」のみを対象とし、上皮内新生物は対象外となるがん保険もあります。
以前から加入している保険がある場合は、担当者や保険会社に問い合わせて、上皮内新生物が保険金支払いの対象となるかを確認することをおすすめします。
まとめ:不安を解消し、適切な保険選びを
高度異形成と診断され円錐切除術を受けた場合、その後の定期検査で異常がない状態が続いていても、保険加入時にはその事実を告知する必要があります。保険会社によって判断基準が異なるため、複数の保険会社を取り扱っている保険代理店で相談し、ご自身の状況に合った保険を見つけることが大切です。
ご自身の健康状態を正確に伝え、適切な保障内容の保険に加入することで、将来への不安を軽減し、安心して生活を送ることができます。